• 専門家が見たファスティング
  • 医師や栄養士など専門家がファスティングの効果を解説。健康面や美容、ライフスタイル改善に役立つ専門的な視点を提供します。

ファスティングはお口の健康にも効果あり!歯科医がメリットを詳しく解説

ファスティングを体験することで、お通じが良くなったり、体が軽くなるなど、私たちの体の健康にとって良い影響が出てくることは皆さんもご存知かと思います。実はファスティングは口腔内、つまりお口の健康にも関係することはご存知ですか?

今回の記事では、お口の健康にファスティングが与える影響について、東京・中野区の熊谷歯科医院の院長、熊谷靖司先生にお話を伺いました。


熊谷靖司(熊谷歯科医院)

鶴見大学歯学部を卒業後、東京医科歯科大学、若林歯科医院(渋谷区)を経て、2000年10月に熊谷歯科医院(中野区)を開業。歯の健康だけではなく、患者の体や生活習慣などのバックグラウンドも考慮した診療を心がけている。日本歯周病学会認定医の資格を持つ。

熊谷靖司(熊谷歯科医院)

鶴見大学歯学部を卒業後、東京医科歯科大学、若林歯科医院(渋谷区)を経て、2000年10月に熊谷歯科医院(中野区)を開業。歯の健康だけではなく、患者の体や生活習慣などのバックグラウンドも考慮した診療を心がけている。日本歯周病学会認定医の資格を持つ。


歯科医から見たファスティング

インタビューに答える熊谷先生

熊谷靖司(熊谷歯科医院)

鶴見大学歯学部を卒業後、東京医科歯科大学、若林歯科医院(渋谷区)を経て、2000年10月に熊谷歯科医院(中野区)を開業。歯の健康だけではなく、患者の体や生活習慣などのバックグラウンドも考慮した診療を心がけている。日本歯周病学会認定医の資格を持つ。

(インタビューに答える熊谷先生)

Q 熊谷先生、お忙しい中お時間をいただきありがとうございます!本日のインタビューは、ファスティングとお口の健康について伺いたいのですが、そもそも先生はファスティングについてどのような印象をお持ちでしょうか?

熊谷 歯科医の立場から見ても、ファスティングは口腔内の環境を整えるのにとても良いと思いますよ。実は今回のインタビューのお話をもらう前から、「クリニックの患者さんもファスティングをやれば良いのにな」と思っていたくらいです。

Q そうだったのですね!なぜファスティングを勧めようと思ったのですか?

熊谷 私たちのクリニックでは、治療を行う前に患者さんに対するカウンセリングを実施するんです。そこで、「糖尿病はありますか?」とか「高血圧はないですか?」とか、患者さんの抱える状況についてしっかりと話してもらいます。このカウンセリングでよく感じるのが、普段から食事を食べ過ぎ、というの問題です。ファスティングを実践することで、この食べ過ぎ問題が解決できると思ったんです。

実は、虫歯は食生活などの生活習慣が大きく影響してくるので、口の中だけ綺麗にするのではなくて、生活習慣そのものを改善しないと本質的な解決にはならないと考えています。

あとは、実際に私がダイエット目的でファスティングをしたことがあって、その時の経験からもお勧めしたいと思っています。

Q それは説得力がありますね。どれくらいファスティングをやっていたのですか?

熊谷 私はもともと、断食とか好きだったんですよ。2011年ごろからダイエットを行いまして、その際にファスティングにも挑戦しました。ただし、ほぼ自己流でやっていましたね。当時は今みたいに準備食や回復職などの情報がほとんどなかったんですよ。手探りでファスティングに挑戦しましたが、結果的には大成功でした。明らかに体は楽になりましたし、集中力が上がる実感もありました。減量にも効果があったと思います。ファスティングだけの効果ではないですが、当時のダイエットはトータルで30kgくらい痩せたんですよ。

ダイエット前の熊谷先生 熊谷歯科医院提供

熊谷靖司(熊谷歯科医院)

鶴見大学歯学部を卒業後、東京医科歯科大学、若林歯科医院(渋谷区)を経て、2000年10月に熊谷歯科医院(中野区)を開業。歯の健康だけではなく、患者の体や生活習慣などのバックグラウンドも考慮した診療を心がけている。日本歯周病学会認定医の資格を持つ。

(ダイエット前の熊谷先生 熊谷歯科医院提供)

Q この写真を見ると別人ですね。

そうでしょう?私は、患者にもダイエットをした方がいいと絶対に言っているんです。ダイエット以外にも口腔内の環境にもプラスに働きますしね。

ファスティングとお口の健康の関係

ファスティングと虫歯・歯周病

Q ファスティングは口腔内にとってもプラスに働くのですね!具体的にどのような口腔内のトラブルが改善するんでしょうか?

熊谷 虫歯や歯周病は生活習慣に大きく関わってくるものですので、ファスティングによっていい影響を与えることができると思います。

インタビューに答える熊谷先生

熊谷靖司(熊谷歯科医院)

鶴見大学歯学部を卒業後、東京医科歯科大学、若林歯科医院(渋谷区)を経て、2000年10月に熊谷歯科医院(中野区)を開業。歯の健康だけではなく、患者の体や生活習慣などのバックグラウンドも考慮した診療を心がけている。日本歯周病学会認定医の資格を持つ。

(インタビューに答える熊谷先生)

鍵を握るのが、口腔内にできるプラーク(歯垢)です。みなさんもプラークコントロールといった言葉を聞いたことがあるかもしれません。プラークとは、歯の表面に付着した白く柔らかな沈着物で、食後24時間[1] で形成され、プラーク1㎎の中には10億個以上の細菌が存在していると言われています。プラークは、最初口の中に何もなかったところから、食べ物があるとどんどん大きくなり、口の中もネバネバしてきます。プラークがある状態で炭水化物を食べると、プラークの中の虫歯菌が乳酸を出して、乳酸で歯が溶けることになります。これが虫歯の始まりです。炭水化物が多くあると乳酸が出る量も多くなります。

ファスティングをすることで、食べ物が口の中に入る機会が少なくなると、自然とプラークが作られる機会も減ります。結果として、乳酸が出る量も少なくなり、歯が溶けるリスクも減るので、虫歯になりにくくなると言えます。ちなみに、診察中に口の中を見ると、プラークの様子などで間食が多いのか少ないのかわかってしまいます。

もう1つ重要なポイントである歯周病への影響について説明します。歯周病はプラークの中の歯周病菌が炎症性のサイトカインなどを出すことで、歯肉が腫れたり中の骨が溶ける原因になります。歯周病菌がいる状態でプラークが残っていると、その上にまたプラークがくっついていき、何重にもならう。そうなると、より体に悪影響を与えていきます。食事の機会が減ってプラークができにくくなると歯周病にも影響を与えます。

肥満と歯周病の相互関係

Q 熊谷先生のクリニックではファスティングについて患者さんとお話しすることはありますか?
インタビューに答える熊谷先生

熊谷靖司(熊谷歯科医院)

鶴見大学歯学部を卒業後、東京医科歯科大学、若林歯科医院(渋谷区)を経て、2000年10月に熊谷歯科医院(中野区)を開業。歯の健康だけではなく、患者の体や生活習慣などのバックグラウンドも考慮した診療を心がけている。日本歯周病学会認定医の資格を持つ。

(インタビューに答える熊谷先生)

熊谷 患者さんから、ファスティングに挑戦した、と伝えられることはありますよ。私からは、食べる量をコントロールして欲しいということは伝えることがあります。現代人は食事を食べ過ぎなんですよね。食べ過ぎた状態が続くと肥満にもなります。実は肥満と歯周病にも相関性があるんです。脂肪細胞では炎症性サイトカインが作られるので、このサイトカインが歯を支える骨(歯槽骨)を溶かして歯周病を発症させたり、進行させてしまいます。脂肪細胞が多い肥満の人は、サイトカインの量も増えるので、より多くの骨を溶けることになります。

逆に歯周病が肥満を促進する可能性も指摘されています。先ほど説明したように歯周病菌からも炎症性のサイトカインは出されます。この炎症性サイトカインによって脂肪細胞が肥大しやすくなり、脂肪を蓄えやすくなるのではと考えられているんです。

ファスティングのダイエット効果で脂肪が減って炎症性サイトカインが減少し、結果として歯周病の発症や進行リスクを減らすことにもつながると言えます。

ファスティングと逆流性食道炎

Q 虫歯や歯周病以外にもファスティングによってプラスに働くことはありますか?

熊谷 太っている人は逆流性食道炎によって胃液が口の中に出てきている人がいます。胃酸は強酸なので歯が溶けてしまいます。そうなると虫歯や歯周病などになりやすくなります。

ファスティングのダイエット効果で肥満が解消すると、逆流性食道炎の症状も緩和できる可能性があります。そうすると、胃液が口の中に出ることも減り、歯が溶けることもなくなるでしょう。

話せば話すほど、現代人はファスティングをやった方がいいという思いが強くなってきました。

ファスティング中の歯磨き

Q 確かに、口腔内にとっては色々な面でメリットがあることがわかりますね。ファスティング中は食事を控えることになりますが、歯ブラシは普段通りにやった方がいいんですか?

熊谷 ファスティング中も歯は磨いた方がいいですね。磨き方は普段通りで構いません。何も食べなくてもプラークが0にはなりませんから、ファスティング中もきちんと歯を磨きましょう。

まとめ

今回の記事では、お口の健康にファスティングが与える影響について、東京・中野区の熊谷歯科医院の院長、熊谷靖司先生にお話を伺いました。熊谷先生のお話しで、食事を控えることで口の中の環境をリセットするファスティングは、虫歯や歯周病対策にとってもプラスに働くことがわかりました。

体を整える新しい生活習慣であるファスティングを、お口の健康のためにチャレンジしてみるのもいいかもしれません。

この記事は、医療健康情報を含むコンテンツを公開前の段階で専門医がオンライン上で確認する「メディコレWEB」の認証を受けています

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