やり方は?注意点は?気になるファスティングのギモン

ファスティングに興味をもち、実際に取り組んでみようと考えている方もいるのではないでしょうか。はじめてファスティングをするにあたって、やり方や注意点について気になりますよね。

この記事では、ファスティングの方法や実施時の注意点について解説します。ファスティングに関する疑問を解決したい人はぜひ参考にしてみてください。


この記事の監修ドクター

名前 中路 幸之助 
所属 医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センター

経歴 1991年に兵庫医科大学を卒業後、 兵庫医科大学、獨協医科大学を経て、1998年 医療法人協和会に所属。 2003年から現在まで、医療法人愛晋会中江病院の内視鏡治療センターで臨床に従事している。 専門分野はカプセル内視鏡・消化器内視鏡・消化器病。学会活動や論文執筆も積極的に行っており、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会専門医・指導医・学会評議員、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・学術評議員、日本消化管学会代議員・近畿支部幹事、日本カプセル内視鏡学会認定医・指導医・代議員を務めているほか、 米国内科学会(ACP)の上席会員(Fellow)でもある。


ファスティングって本当に身体にいいの?

ファスティングは、一定期間食事を断つ健康法で、減量や体質改善が期待できるといわれています。現代人は食べ過ぎ・飲みすぎの人が多く、胃腸が24時間働いている状況です。ファスティングをすることで以下の健康効果が期待できます。

  • 胃腸が休まり、消化吸収能力を正常化できる
  • 排泄機能が促進されて、便秘を改善できる
  • 空腹に慣れることで、暴飲暴食の改善を目指せる

「医師に聞く」ファスティング

ファスティングに対する見解は医師によってもさまざまです。ファスティングにより免疫力が活性化すると考え、難病やがんの患者さんの療法として提案している医師もいます。

しかし医師の中には、ファスティングにより空腹時間が長くなると、次のような弊害があると考える人もいます。

  • 飢餓状態のエネルギー確保のために筋肉がやせ細る
  • 空腹時間が長くなることで、血糖値が不安定になり血管にダメージを与える

実際に、ファスティングで注目されているオートファジー(生命維持のために自らの細胞をリサイクルすること)は、細胞が生まれ変わるといわれています。しかし、オートファジーには、断食時のエネルギーを補うための筋肉の消費も含まれます。

このように、ファスティングにはメリットとデメリットがあります。健康に不安がある人や持病を抱える人は、かかりつけ医に相談したうえで、無理のない範囲で断食を行いましょう。

期間別「ファスティング」のやり方とは

減量や健康の向上のためにファスティングをやってみたいという人も多いでしょう。ここでは、ファスティングの期間とやり方についてみていきます。

半日~2週間ファスティングの期間はいろいろ

ファスティングにはいくつかの種類があり、それぞれ実施期間が異なります。主なファスティングの期間は次のとおりです。

8時間

8時間ファスティングは、通常の食生活のリズムのことです。夜ベッドで横になってから、朝食の時間まで食事を一切取りません。英語で朝食のことを「breakfast」と言いますが、「断食(fast)を断つ(break)」という意味があります。

日常的に規則正しい生活を送っていれば、誰もが8時間ファスティングに取り組んでいることになります。一方で、夜食を取る生活をしたり、睡眠時間が不規則だったりすると、8時間断食を実現することができません。普段の生活習慣が乱れている人は、8時間ファスティングから初めてみるとよいでしょう。

16時間

16時間ファスティングは、8時間以内に1日のすべての食事を終えて、残りの16時間は食事を取らない方法です。ほとんどの場合、学校や職場での社会生活があることから、朝食を抜いて、昼の12時から夜の20時までに残りの2食を済ませることが多くなります。そのため16時間ファスティングは、朝食抜きダイエットや半日ファスティングとも呼ばれることもあります。

健康のために1日に3食規則正しくと言われることもあると思いますが、体質や1日の活動量によっては、1日2食だけでも十分なケースがあります。とくに、食べ過ぎや飲みすぎ、夜食を取る習慣がある人は、朝食を抜くことで胃腸に休息時間を与えることができます。長期的にファスティングを行いたい人は、16時間ファスティングに取り組むとよいでしょう。

1日

1日ファスティングは、丸1日の間、固形の食事を取らない方法です。ファスティングを1日以上行う場合、断食前後に準備が必要です。1日ファスティングは期間が短いため、手軽に行いたい人に適しています。体をリセットするために、週末に1日ファスティングをする人も多く、初心者にもおすすめの方法です。

3日

ファスティングの中でもオーソドックスな方法が3日ファスティングです。3日ファスティングをするときは、準備期間と回復期間を各3日間設ける必要があります。準備期間では、少しずつ食事を減らし、食事の形態も軽いものにしてから、ファスティングに臨みます。断食後の回復食を取るときは、すぐに通常の食事に戻すのではなく、重湯など消化のよい食事から始めて、少しずつ慣らしていく必要があります。

3日ファスティングを行う場合、ファスティングによる一時的な体力の低下もみられます。ある程度まとまった休暇を取ることができるタイミングに行うとよいでしょう。また3日ファスティングについて、準備期と回復期を含めて、「1週間断食」としてプログラムを提供している施設もあります。

1週間

1週間ファスティングは、食事を取らない期間を1週間設ける方法です。準備期を数日、回復期を1週間設けるため、トータルのファスティング期間は半月ほどになります。食事を取らない期間が長期になる1週間ファスティングは、ファスティングに慣れている人に適しています。ファスティングの経験が少ない人は、専門の施設で実施するようにしましょう。

2週間

2週間ファスティングは、食事を取らない期間を2週間設ける方法です。準備期を数日、回復期を2週間設けるため、トータルの期間は1か月におよびます。2週間もの断食を行うのは、ファスティング上級者です。1週間断食と同様に、施設のプログラムに参加したり、医師の指導の下で行うのが適しています。

無理なくできる週末ファスティング

はじめて断食を始める人におすすめなのが、「週末ファスティング」です。週末ファスティングは休日を利用して、1~2日でファスティングを実施します。断食中は体力の低下や空腹によるイライラを感じやすくなりますが、週末ファスティングなら、自分のペースでゆったりと取り組むことができます。

スケジュール例

週末ファスティングの具体的な日程例は次のとおりです。

金曜日(準備期):軽めの夕食を早めに取る
土曜日(ファスティング期):固形物の食事を取らず、水分摂取のみ行う
日曜日(回復期):段階的に食事の形態を通常のものに戻していく(朝は重湯、昼食はおかゆやリゾット、夕食は通常の食事を少量取るなど)

週末ファスティングに慣れてきたら、土曜と日曜の2日間に食事を取らない期間を増やし、月曜日に回復食を始めることもできます。土日休みではない人は、週末にこだわらずに2連休の日にファスティングをするとよいでしょう。

2回目以降の頻度や、どういう状態になったらファスティングすればいいか

ファスティングは、目指すゴールによっても行う頻度が異なります。体質改善を期待するなら、半日ファスティングのように無理なく行えるファスティングを長期的に行ったり、毎週末に1日ファスティングに取り組むとよいでしょう。

一時的に増えた体重を元に戻したい場合、その都度3日ファスティングを行う人が多いようです。また、病気の療養目的で行う人の中には、医師の指導の下で、長期間のファスティングに取り組む人もいます。

ファスティング時の注意点

ファスティングをするときは、いくつかの注意点があります。

頭痛やめまいが起こる好転反応

ファスティングにより食事を断つと、血糖値が低下したり、体に蓄えられたグリコーゲンや脂肪がエネルギーとして消費されたりします。低血糖や脂肪分解時にケトン体が作られていると、多くの人に頭痛やめまいが現れます。

ファスティング中の不快な症状は副作用でもありますが、体の脂肪が燃焼を意味する好転反応ともいえます。ファスティング中は無理をせずに、ゆったりと過ごすようにしましょう。

水分をしっかり摂る

ファスティングをするときは、普段よりも意識して水分補給をしましょう。食事を取らない状態では、食材からの水分摂取がなくなり、脱水を起こしやすくなるため注意が必要です。ファスティング中は水やハーブティーなどノンカフェイン飲料や酵素ドリンクなどビタミンやミネラルの補給に役立つ飲み物を選ぶのもおすすめです。

軽い運動も大切

体力がある人は、ファスティング中に軽い運動をするのもおすすめです。ファスティングにより食事からのエネルギー摂取がなくなると、体が冷えやすくなります。適度な運動をすると、血行が促進されて体温を上げる効果があります。

ファスティング中は、軽いウォーキングやストレッチなど、体に大きな負担のかからない運動をするとよいでしょう。エネルギー不足によりふらつくことも多いので、スポーツなど激しい運動は控えるようにしてください。

まとめ

ファスティングは、目的に応じて期間に種類があります。いずれのファスティングも、基本的には食事をしない期間の前後に準備期と回復期を設けたうえで行います。自分のライフスタイルや目的に合わせて、ファスティング期間を決めましょう。特に、はじめてファスティングをするときは、半日ファスティングや1日ファスティングなど体に大きな負担がかからない方法で始めることが大切です。

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