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ファスティングは美容医療にも相乗効果!?美容クリニック院長がメリットを詳しく解説

お通じが良くなったり、体が軽くなるなど、私たちの体の健康にとって良い影響が出てくるファスティング。中でも、ファスティングで体を整えることによる美容効果に注目している人は多いのではないでしょうか。

今回の記事では、ファスティングが美容にとってどのような影響があるのか、東京・港区の青山メディカルクリニックの院長、松澤宗範先生にお話を伺いました。


松澤宗範(青山メディカルクリニック)

近畿大学医学部医学科卒業後、慶應義塾大学病院形成外科に入局。佐野厚生総合病院、横浜市立市民病院、埼玉医科総合医療センターなどを経て、2020年5月に青山メディカルクリニックを開業。世界美容外科学会専門医。

松澤宗範(青山メディカルクリニック)

近畿大学医学部医学科卒業後、慶應義塾大学病院形成外科に入局。佐野厚生総合病院、横浜市立市民病院、埼玉医科総合医療センターなどを経て、2020年5月に青山メディカルクリニックを開業。世界美容外科学会専門医。


美容外科医から見たファスティング

ファスティングが良いポイント

Q 本日はファスティングの美容への効果について伺っていきます。先生は美容クリニックの院長として、患者さんの美にコミットされていますが、ファスティングが話題になることはありますか?

松澤 ファスティングはダイエットを目的として行う人もいると思いますが、ダイエットという側面だとクリニックではファスティングではなく、どちらかというとGLP1受容体作動薬やメトホルミンなど、いわゆるメディカルダイエットの話が中心になりますね。

メディカルダイエットとは、元々は糖尿病の治療薬として使われていたGLP-1受容体作動薬のリベルサス、ビグアナイド薬のメトホルミン、SGLT2阻害薬のジャディアンスなどの薬を用いた減量方法のことです。

ただ、ファスティングについては個人的に体験したことがあり、良いと思っています。

Q 確かにメディカルダイエットは流行っていますよね。松澤先生がファスティングがいいなと思ったのは、どういう理由ですか?
松澤宗範(青山メディカルクリニック)

近畿大学医学部医学科卒業後、慶應義塾大学病院形成外科に入局。佐野厚生総合病院、横浜市立市民病院、埼玉医科総合医療センターなどを経て、2020年5月に青山メディカルクリニックを開業。世界美容外科学会専門医。

(インタビュー取材風景)

松澤 どのくらい食べない時間をおくかにもよりますが、最低10時間以上あけると、オートファジーの効果が出ますので、自分の中のいらない老廃物を出すことができます。美容の観点からも、老廃物を溶かしてリソソームなどで再利用することができ、新陳代謝が上がるので、皮膚にとっても良い影響を与えると考えられます。また、消化管の機能を休ませて回復させることで、体の状態やホルモンバランスの回復が期待できます。体が整うと皮膚にも良い影響があるため、ファスティングは美容にも効果的だと思います。

食事で摂り過ぎた糖質を抑えることで、体が糖化や炎症を起こすのを防ぐことができます。これにより、皮膚の酸化を予防することができます。また、サーチュイン遺伝子を刺激し、老化予防にも役立ちます。

糖化は肌の大敵

Q なぜ糖化すると皮膚に悪い影響が出るんでしょうか?

松澤 糖化が皮膚に悪影響を与えるのは、体内で糖分がタンパク質や脂質と結びつき、AGEs(終末糖化産物)と呼ばれる有害物質が生成されるからです。これらのAGEsは、体内で分解されにくく、蓄積することで皮膚の重要な構成要素であるコラーゲンやエラスチンにダメージを与えてしまうんです。

コラーゲンやエラスチンが糖化によって硬化すると、弾力や柔軟性が失われてしまいます。その結果、皮膚が硬くなり、しわやたるみが増える原因となります。さらに、糖化反応によって酸化ストレスが増加して、活性酸素種が細胞を傷つけ、皮膚の老化が加速してしまいます。また、AGEsは炎症性サイトカインの産生を刺激し、慢性的な炎症状態を引き起こすこともあるんです。

この炎症が皮膚のバリア機能を低下させ、敏感肌や乾燥肌、ニキビなどの皮膚トラブルを引き起こす可能性があります。加えて、AGEsはメラニン生成を異常に活発にし、シミや色素沈着の原因ともなります。

このように、糖化は皮膚に多方面から悪影響を及ぼし、肌の健康を損なう要因となります。したがって、バランスの取れた食生活を心がけることが、健康な肌を保つためにとても重要なことです。

ファスティングと美容医療の相性

ファスティングと美容医療の相乗効果

Q なるほど、ファスティングで糖化を抑えることは肌にとっては大きなメリットがあるんですね。ファスティングは美容面でもプラスに働く可能性があることを教えていただきましたが、美容医療と併用することで美への効果をあげることができる可能性はあるのでしょうか?

松澤 美容医療との併用はかなりおすすめできると思います。ヒアルロン酸やボトックスは即時効果がある施術になりますが、ボトックスでしわを取っても多少は残るんですよね。ファスティングを行うことで体の中から徐々に変わっていくと、肌の地盤が整って張りが出てきます。そうするとさらに施術の効果が出やすくなると思います。

Q なるほど、美容医療との併用は興味深いですね。ファスティングと相性が良さそうな美容クリニックで提供しているメニューは他にはどのようなものがあるのでしょうか?
松澤宗範(青山メディカルクリニック)

近畿大学医学部医学科卒業後、慶應義塾大学病院形成外科に入局。佐野厚生総合病院、横浜市立市民病院、埼玉医科総合医療センターなどを経て、2020年5月に青山メディカルクリニックを開業。世界美容外科学会専門医。

(インタビュー取材風景)

松澤 痩身用のメニューは相性がいいと思います。あとは、糸リフトやハイフにもいい影響があると思います。糸リフトは脂肪が多いと戻りやすくなる特徴がありますので、クリニックでも脂肪溶解注射や脂肪吸引をして脂肪を減らしてからリフトすることもあるんです。ファスティングのダイエット効果と合わせるのは糸リフトの効果が長持ちする可能性はあります。

あとはシミに関する施術も効果が上がる可能性もありますね。ファスティングによって体の新陳代謝が上がることで効果がある期待できそうです

Q 多くのメニューで相乗効果がありそうで、興味深いですね。松澤先生が院長をされている美容クリニックでは、内面の美しさにも関心が高い人は多いんですか?

松澤 そうですね。クリニックの患者さんのように外見にしっかりとお金を使う方は、食事など体の内側にも意識を向けている人が多い印象はあります。もちろんクリニックの場所などにもよると思います。

私は患者さんにエクソソームやNMNについて説明する機会がありますが、こうしたメニューについては日常生活を整えないとやっても意味がないと話しているんです。睡眠や食事を整えて、ストレスをなるべく感じないようにコントロールしないといけません。あとは、お酒飲み過ぎていると体の中で炎症が起きるので、どれだけ美容の施術をしても効果が出にくくなってしまいます。あとは、タバコは健康はもちろん美容においても大敵です。

腸内細菌が整うと肌の常在菌にも影響

Q ちなみに、ファスティングで腸内細菌のバランスが整うということをよく聞きますが、腸内細菌のバランスが整うことで肌の常在菌にも影響があったりするのでしょうか?

松澤 いいポイントですね。腸内細菌のバランスが良くなると、肌の常在菌にも影響を与える可能性があります。腸内環境と皮膚の健康は「腸-皮膚軸(gut-skin axis)」と呼ばれる概念でつながっていて、これには腸内細菌と皮膚の常在菌の相互作用も含まれます。

まず、大前提として腸内細菌は体全体の免疫系に影響を与えます。腸内細菌のバランスが整うと、炎症反応が適切に制御され、全身の炎症が減少するため、肌の状態も改善することがあります。これにより、皮膚のバリア機能が強化され、常在菌のバランスも安定します。

また、腸内細菌が生成する代謝産物、例えば短鎖脂肪酸(SCFA)は、全身を循環して皮膚に届き、皮膚の健康をサポートします。これが、肌の常在菌にとって好ましい環境を提供し、バランスの取れた菌叢を維持することに寄与します。

さらに、腸内細菌のバランスが良くなると、腸から吸収される栄養素の質が向上し、皮膚にも十分な栄養が供給されるようになります。栄養状態が改善されることで、肌の代謝が正常化し、常在菌のバランスも整いやすくなります。

したがって、腸内細菌のバランスを整えることは、肌の常在菌のバランスにも良い影響を与え、健康な肌を維持するために重要な要素となります。ただし、腸内細菌と皮膚の健康、特に肌の常在菌との関連についてのエビデンスは増えつつありますが、まだ研究の進行中であり、確立された結論には至っていない部分もあります

松澤先生のファスティング体験

Q なるほど、エビデンスの確率はまだですが、腸内環境が整うことと肌の調子が整うことには関連がありそうですね。松澤先生はファスティングの経験があるそうですが、どのようなファスティングを行ったんですか?

松澤 私がやったのは16時間ファスティングですね。毎食のご飯を20〜30%カロリー減らすダイエットと迷ったのですが、オートファジーなどの効果を考えてファスティングを選びました。結果としては、体が軽くなりましたし、夜にかけて朝食べないと胃腸の環境が休まって楽になりました。肌に関してもはりが出たので、ニキビやできもの系はできにくくなると思いました。

Q 16時間ファスティングはチャレンジしやすいですよね。現在もファスティングは続けているんですか?
松澤宗範(青山メディカルクリニック)

近畿大学医学部医学科卒業後、慶應義塾大学病院形成外科に入局。佐野厚生総合病院、横浜市立市民病院、埼玉医科総合医療センターなどを経て、2020年5月に青山メディカルクリニックを開業。世界美容外科学会専門医。

(インタビュー取材風景)

松澤 残念ながら続いていないですね。ただ、実はつい最近になって脂肪肝だということが発覚しまして、改めてファスティングをやりたいと思っています。

メディカルダイエットは短期やる分にはすごくいいんですよね。3、4日やるだけで5kg痩せることもあります。ただ個人的には長い間ずっと続けることはおすすめしていないんです。肌がカサカサになってしまったり、活力がなくなることがあります。ファスティングは16時間などライトなものであれば無理なくできるので、体を整える習慣にすることもできると思います。

Q 美容クリニックの立場からファスティングをする際の注意点はありますか?

松澤 栄養不足やストレスは肌に悪影響を与えてしまいますので、無理に行ってストレスフルになるのは避けた方がいいと思います。あくまでも、ご自身のペースに合わせて無理なく行うことが大切です。そういう意味だと、16時間ファスティングであれば無理なくできると思うのでオススメです。

栄養については、ビタミン系だとビタミンB、C、Eとか取ったほうがいいですね。筋肉の分解を防ぐためには、アミノ酸の摂取も考慮に入れると良いです。必須アミノ酸を摂取することで、筋肉の損失を最小限に抑えることができます。

まとめ

今回の記事では、ファスティングが美容にとってどのような影響があるのか、東京・港区の青山メディカルクリニックの院長、松澤宗範先生にお話しを伺いました。ファスティングそのものの効果だけではなく、クリニックで行っている施術とも相乗効果が出る可能性についても教えていただきました。美容について意識が高い人も、これから美容医療を受けようと考えている方も相乗効果を出すためにファスティングを生活習慣に取り入れてもいいかもしれません。

この記事は、医療健康情報を含むコンテンツを公開前の段階で専門医がオンライン上で確認する「メディコレWEB」の認証を受けています

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