• ファスティング基礎知識
  • 「ファスティングを始めるための基礎知識をわかりやすく解説。初心者向けに、準備方法や効果、注意点を詳しく紹介します。

花粉症対策にファスティング?腸と免疫の関係から探る効果の可能性

春になると、鼻水、くしゃみ、目のかゆみといった花粉症の症状に悩まされる方が増えます。特に、春はスギやヒノキの花粉が飛散する時期で、花粉症が原因で日常生活に支障をきたすことも少なくありません。

花粉症の治療法の選択肢も増えつつありますが、薬に頼るだけではなく、生活習慣や食生活の見直しによって花粉症の症状を和らげる方法に注目が集まっています。

この記事では、ファスティングがどのように花粉症に影響を与える可能性があるのか、科学的な観点から詳しく解説します。


この記事の監修ドクター

名前 中路 幸之助  
所属 医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センター

経歴 1991年に兵庫医科大学を卒業後、 兵庫医科大学、獨協医科大学を経て、1998年 医療法人協和会に所属。 2003年から現在まで、医療法人愛晋会中江病院の内視鏡治療センターで臨床に従事している。 専門分野はカプセル内視鏡・消化器内視鏡・消化器病。学会活動や論文執筆も積極的に行っており、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会専門医・指導医・学会評議員、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・学術評議員、日本消化管学会代議員・近畿支部幹事、日本カプセル内視鏡学会認定医・指導医・代議員を務めているほか、 米国内科学会(ACP)の上席会員(Fellow)でもある。

名前 中路 幸之助 
所属 医療法人愛晋会中江病院 内視鏡治療センター

経歴 1991年に兵庫医科大学を卒業後、 兵庫医科大学、獨協医科大学を経て、1998年 医療法人協和会に所属。 2003年から現在まで、医療法人愛晋会中江病院の内視鏡治療センターで臨床に従事している。 専門分野はカプセル内視鏡・消化器内視鏡・消化器病。学会活動や論文執筆も積極的に行っており、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会専門医・指導医・学会評議員、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・学術評議員、日本消化管学会代議員・近畿支部幹事、日本カプセル内視鏡学会認定医・指導医・代議員を務めているほか、 米国内科学会(ACP)の上席会員(Fellow)でもある。


花粉症とは?仕組みと発症のメカニズム

花粉症は、アレルギー性鼻炎の一種で、免疫系が花粉を異物として認識し、過剰に反応することが原因で発症します。花粉は本来無害な物質ですが、免疫システムが過剰に反応してしまうことで、くしゃみや鼻水、目のかゆみといった症状が現れます。花粉症の多くは、スギやヒノキ、ブタクサなど、特定の植物の花粉に対して起こります。

花粉は植物の種類によって飛散時期が異なります。最も花粉症を発症しやすい時期は2月〜5月とされていて、この時期に飛散するのはスギ花粉(2月〜5月)とヒノキ花粉(3月〜5月)です。

花粉症は、花粉が鼻や目の粘膜に触れることで、免疫系が花粉を異物として認識して攻撃しようとすることで発症します。この時に、免疫細胞がヒスタミンなどの化学物質を放出することが炎症を引き起こす原因です。ヒスタミンは血管を拡張させ、鼻水や目のかゆみを引き起こす物質です。

花粉症は、免疫の過剰反応が主な原因であり、免疫システムがバランスを崩すことで発症します。このため、花粉症の症状を軽減するためには、免疫バランスを整えることが重要となります。

腸と免疫、花粉症などのアレルギーとの意外な関係

腸内には免疫細胞の約70%が存在しており、腸内環境は免疫システムと密接に関連しています。最近の研究では腸内フローラ(腸内細菌群)が免疫機能に関連していることが明らかになっています。このため、ファスティングによって腸内環境が整うことは、免疫バランスを改善し、アレルギー反応の軽減に寄与する可能性があるとされています。

乳酸菌やビフィズス菌を摂取することは腸内環境を整える方法として有名ですが、これらの善玉菌を摂取することによって花粉症のアレルギー症状を改善することが示された研究報告もあります。(参考:※乳酸菌の免疫調節効果に関する研究

花粉症も免疫系が過剰反応するアレルギーですから、ファスティングによって腸内環境が整って免疫機能が改善することは、花粉症によるアレルギー症状の軽減につながる可能性があります。

ファスティングによる腸内環境改善と花粉症との関係

ファスティングは、一定の期間食事を控えることで、消化器官を休め、体内の代謝やホルモンのバランスをリセットします。最近では、16時間ファスティングなど比較的軽めのファスティング方法が注目されています。(参考:「16時間断食とは?メリット・デメリットややり方を詳しく解説」

ファスティング中は固形物を摂取しないため、消化活動にかかるエネルギーが少なくなり、代謝やホルモンのバランスが整うことで、体の自然治癒力を高めるとされています。特に、腸内環境が改善されることで、免疫機能の向上が期待されています。

また、ファスティング中に炎症性サイトカイン(炎症を引き起こす物質)の分泌が抑えられることがわかっています。さらに、ファスティングにはオートファジーという細胞の自己修復機能を活性化させる効果があります。オートファジーは、細胞内で不要な物質を分解し、新しい細胞を作り出す働きです。これが腸内細胞においても機能し、腸内環境を整える手助けになるとされています。

これらの点から、ファスティングで腸内環境を改善し、免疫バランスを整えることで、花粉症をはじめとするアレルギー症状の軽減に寄与する可能性があると考えられるのです。

ファスティングを実践するポイント

ファスティングは、目的や慣れに応じて期間に種類があります。いずれのファスティングも、基本的には食事をしない期間の前後に準備期と回復期を設けたうえで行うことを心がけましょう。

特に、はじめてファスティングをするときは、この記事でも紹介している16時間ファスティングなど体に大きな負担がかからない方法で始めることが大切です。

ファスティングを実践するポイントは、以下の記事でも詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

「やり方は?注意点は?気になるファスティングのギモン」

チャレンジしやすいファスティングの期間

ファスティングは上級者になると、1週間以上の期間を設定することもありますが、仕事など日々の生活がある中で簡単に実践できるものではありません。

そこで、チャレンジしやすい比較的短めの期間のファスティングについて紹介します。

16時間ファスティング

16時間ファスティングは最も始めやすいプランです。1日のうち16時間だけ断食するので、準備期間や回復期間を設ける必要もないとされています。気軽に始められるため、初心者におすすめです。

1日ファスティング

1日ファスティングは、16時間ファスティングよりも胃腸を休めることができます。

24時間、食事を控えることで胃腸の中身が空になり、内臓機能の回復につながるでしょう。胃腸が本来の働きを取り戻した結果、食べ物の消化や吸収効率の向上も期待できます。

3日間ファスティング

3日間ファスティングは1日ファスティングよりも、さらに胃腸を休めることができます。3日間集中的に食事をしないことで、摂取カロリーを大きく減らして余分な脂肪を燃焼させられる可能性があるでしょう。準備食や回復食など、ファスティング前後のケアをしっかり行う必要があります。

これらのファスティングについては、以下の記事でも詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

プチ断食とは?期待できる効果や3つのやり方・方法を分かりやすく紹介

 まとめ

腸内環境を整える手段の1つとして注目されているファスティングは、免疫バランスの改善効果も期待されていることから、花粉症などのアレルギー症状の軽減にもつながる可能性があります。

この記事を読んだみなさんもぜひファスティングの習慣を作ってみてはいかがでしょうか。

この記事は、医療健康情報を含むコンテンツを公開前の段階で専門医がオンライン上で確認する「メディコレWEB」の認証を受けています

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