体に有効な成分であるビタミンCですが、実際にどんな効果を持っているのかを細かく知っている人は意外と少ないかもしれません。
「ビタミンCを摂ることにどんなメリットがあるのかを知りたい」「野菜やフルーツにどのぐらいのビタミンCが含まれているのかが気になっている」こんな疑問を持っている人に向け、ビタミンCの効果や摂取方法などについて解説します。
ビタミンCとは
ビタミンCは、13種類あるビタミン群の中にある水溶性ビタミンのひとつで、美容や健康に良い影響を与える成分として知られています。また、皮膚や⾻、腱などをつくるコラーゲンの合成に必要な成分でもあります。ミカンなど柑橘系のフルーツや野菜に多く含まれているため、食事を通して比較的摂取しやすい栄養素です。
ビタミンCの働き
ビタミンCの大きな働きは、その抗酸化作用によって「活性酸素(フリーラジカル)」を取り除くことです。活性酸素は本来は免疫機能向上や感染症から体を守るなどの働きをしていますが、その数が増え過ぎると細胞体内の代謝過程において様々な成分と反応してしまうことがあります。
体内の細胞が次々に酸化すると機能が低下し、血管や臓器にも影響が及んでしまいます。しかしビタミンCは抗酸化作用を持っているため、体内の活性酸素を減らし、体をより良い状態に保ってくれるのです。
体内で合成できない
健康や美容に有効なビタミンCですが、体内で合成することはできません。そのため、食事やサプリメントによって摂る必要があります。フルーツや野菜の量を意識的に増やし、できるだけ多くのビタミンCを体内に取り入れるよう心がけましょう。
不足すると⾎管がもろくなることも
ビタミンCは、血管や⾻、腱などを合成するコラーゲン(タンパク質)の⽣成に必須の成分です。そのため、不足すると血管など体の各部位が弱くなってしまいます。また、消化管では鉄の吸収を高めます。
※出典:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報」内「ビタミンC解説」より
摂りすぎても問題はない
どんなに体に良い成分であったとしても、過剰に摂りすぎると体に悪影響を及ぼします。ビタミンCは⽔に溶ける水溶性であり、仮に⼤量に摂ったとしても、尿として体の外に排出されるため広い範囲で安全とされています。ただしサプリメントなどからの過剰摂取によって、下痢や吐き気、腹痛などが生じることがありますので、注意が必要です。
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail179.html
ビタミンCの効果
ビタミンCには、下記の効果があるとされています。
- ・肌を明るくする
- ・免疫力を高める
- ・ストレスをやわらげる
- ・貧血を予防する
一つひとつ、効果の内容を確認していきましょう。
肌を明るくする
シミは、紫外線やホルモンのバランスが崩れることによって発生する「メラニン色素」によって引き起こされます。ビタミンCはメラニン色素の生成を抑える働きを持っています。
予防だけではなく、すでにつくられてしまった「⿊⾊メラニン」も脱⾊するため、いわゆる「美⽩効果」が期待できるとも⾔われています。
免疫力を高める
ビタミンCは免疫力を高める効果も持っています。免疫力低下は活性酸素の発生によって引き起こされますが、ビタミンCが持っている抗酸化作用は活性酸素を抑えてくれるのです。
免疫⼒がアップすると、細菌やウイルスに強い体ができあがります。風邪や感染症にかかりにくくなる、かかっても症状が出にくくなるなどの効果が期待できるでしょう。
ストレスをやわらげる
ビタミンCはストレスをやわらげる効果を持っており、ストレスによる抑うつや不安などの⼼理的な症状の予防に役⽴つことが知られています。
ストレスには、副腎髄質から分泌されるホルモン「アドレナリン」が有効です。アドレナリンを合成するためにはビタミンCが必須成分であるため、日々多くの悩みを持っている人はビタミンCを多く摂るようにしましょう。
貧血を予防する
立ちくらみや息切れ、めまい、ふらつきなどの症状を引き起こす「貧血」に悩まされている人は多くいます。貧血の原因は「鉄分」の不足です。ビタミンCは鉄分の吸収を高める効果を持っているため、貧血の予防・改善を促します。そんな人は、貧血予防に役立つビタミンCを意識的に取り入れましょう。
ビタミンCの1日の摂取基準
人はビタミンCを体内で合成できないため、1日ごとに食事やサプリメントによって摂取しなければいけません。ビタミンCを1日にどのぐらい摂取すべきかを確認していきましょう。
1日当たりの推奨量は成人男性・女性とも100mg
ビタミンCの1日あたりの摂取推奨量は、男性・女性とも年齢に応じて変動します。また妊娠・授乳している女性であれば、年齢の推奨量よりもさらにビタミンCを摂るよう推奨されます。具体的な推定平均必要量・推奨量については、下記の通りです。
ビタミン C の食事摂取基準(mg/日)
年齢 | 推定平均必要量(mg/日) | 推奨量(mg/日) | 目安量(mg/日) |
---|---|---|---|
0歳 | ー | ー | 40 |
1〜2歳 | 35 | 40 | ー |
3〜5歳 | 40 | 50 | ー |
6〜7歳 | 50 | 60 | ー |
8〜9歳 | 60 | 70 | ー |
10〜11歳 | 70 | 85 | ー |
12〜64歳 | 85 | 100 | ー |
65歳以上 | 80 | 100 | ー |
妊婦 | 10 | 10 | ー |
授乳婦 | 40 | 45 | ー |
参考:「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」
※推定平均必要量:心臓血管系の疾病予防効果および抗酸化作用の観点から算定するもの。
ビタミンCを多く含む食品
ビタミンCを多く含む食品は、主に野菜とフルーツです。ここからは、どの食品にどのぐらいのビタミンCが含まれているのかを解説していきます。
野菜類
ビタミンCを多く含む野菜としては、パプリカやピーマン、ブロッコリー、モロヘイヤなどが代表的です。
【野菜のビタミンC含有量(100gあたり)】
食品名 | 含有量 |
---|---|
パプリカ(赤) | 170mg |
ピーマン | 76mg |
ブロッコリー | 140mg |
モロヘイヤ | 65mg |
キャベツ | 41mg |
じゃがいも | 35mg |
菜の花 | 110mg |
フルーツ類
ビタミンCを多く含むフルーツとしては、キウイ、ゆず、柿、ドライマンゴー、いちご、レモンなどが代表的です。
【フルーツのビタミンC含有量(100gあたり)】
食品名 | 含有量 |
---|---|
キウイ(黄) | 140mg |
ゆず | 皮:160mg、果汁:40mg |
柿 | 70mg |
ドライマンゴー | 69mg |
いちご | 62mg |
レモン | 全果:100mg、果汁:50mg |
ビタミンCの効果的な摂り方
ビタミンCを効果的に摂るためには、ただやみくもに食べるのは避けましょう。ここからは、効果的にビタミンCを摂る方法を紹介します。
火を入れすぎたり茹ですぎたりしないようにする
ビタミンCをフルーツではなく野菜から摂る際には、加熱時間に気を使いましょう。ビタミンCを含む食品に火を入れすぎたり茹ですぎたりすると、熱に弱いビタミンCは簡単に壊れてしまいます。適度な状態で火から外すよう心がけましょう。
一方で、じゃがいもやさつまいもに含まれるビタミンCは、デンプンによって守られるため、加熱してもビタミンCの破壊が少ないのが特徴です。じゃがいもやさつまいもは加熱して食べても良いでしょう。
まとめ
この記事では、ビタミンCが持っている効果や摂取基準、多く含んでいる食品などについて解説してきました。
ビタミンCは美容にも健康に有効な成分であり、免疫力アップやストレス軽減にも効果的です。野菜やフルーツの含有量を把握した上で、適切な量を一日の食事で摂るように心がけましょう。