セロトニンは脳内にある神経伝達物質で、その効能はストレスに対してみられます。
脳内のセロトニンが不足すると、不眠や協調性の欠如、うつ状態などメンタルヘルスにおいて日常生活に支障をきたしてしまいます。
また、セロトニンは日光を浴びると分泌されます。
しかし、セロトニンは腸に深く関係しているといわれ食べ物や飲み物、生活習慣などで増やすことができます。
この記事ではセロトニンの働きを理解し、増やすための方法や食事のレシピをご紹介します。
セロトニンは働きとは
セロトニンは精神を安定させ、平常心や安心感を保ち、頭脳の回転に関わるなど、脳の働きを活発にする脳内物質です。
特にストレスに対して効果があります。
セロトニンは体内で自然に生成され、女性ホルモンにも強く関連しています。
また、日光の影響が大きく、日光浴などにより分泌されます。
セロトニンを増やすために日光を浴びるタイミングは、朝起きてから30分間がベスト。
日光が出ているタイミングで、1日15〜30分程度日を浴びることが重要です。
その一方でセロトニンが不足すると仕事への意欲低下やイライラ、慢性的ストレスや疲労がたまります。
うつ病はセロトニン不足も要因とされています。
そのため、常にセロトニンが不足しないように心がけることが大切です。
セロトニンは腸で作られる!?
セロトニンは脳内にある神経伝達物質なので、脳で作られていると思われがちですが、腸内で作られているといわれています。
また、脳は感情を司る器官であることから、一般的に脳に心があるとさえいわれています。
意外にも脳内で生産されているセロトニンは3%程度なのに対し、腸内では95%生産されているといわれています。
なぜ、脳内で分泌されるセロトニンが腸で生産されるのでしょうか?
脳はさまざまなホルモン分泌を分泌しています。
しかし、胃腸は脳のコントロールなしに、胃腸にあるホルモンを分泌をしています。
セロトニンは、腸内で腸内細菌によって、セロトニンのモトとなるものが作られて脳に送られた後、セロトニンになるといわれています。
腸内環境が良い状態だと十分な量が脳に送られるため、リラックスできるということです。
反対に腸内環境が悪いとセロトニンのモトは腸内で使われるため、脳に十分な量が送れない状態になり、イライラを引き起こすと考えられます。
セロトニンを増やすには腸内環境を整えること
セロトニンを増やすために最も重要なのは腸を整えることです。
腸には大腸と小腸を合わせて1億個の神経細胞が集まっているともいわれ、腸は第2の脳とも呼ばれています。
さらに脳と腸は、小腸の一部の細胞および大腸の細胞が神経を通じて密接につながっています。
腸と脳がお互いに影響し合うことを「脳腸相関」といいますが、セロトニンを増やすためには腸を整えることが有効です。
具体的に腸でセロトニンを増やす方法の1つは、食物繊維を多く含む海藻類を食べて腸内環境を整えることです。
海藻に含まれる食物繊維には水溶性食物繊維と不水溶性食物繊維があり、不水溶性食物繊維は体内の水分により膨張して、体内の不要な物質を速やかに排泄してくれます。
そのため、腸内環境が整い、神経細胞の働きも活発化します。
さらに食物繊維は胃で分解されず、大腸まで届くため腸内の乳酸菌やビフィズス菌のエサとなり、いい働きをする善玉菌を増やします。
腸内環境を整えて、「幸せ」ホルモンを増やしましょう
セロトニンは、別名「幸せホルモン」ともよばれています。
セロトニンは脳内伝達物質で幸せを感じたり、なにかをポジティブに考えたりすることの9割に関わりがあると報告されています。
さらに、腸内環境を整えることでセロトニンを増やせることがわかっています。
腸は神経細胞が集中した器官のため、腸内の神経細胞を働かせるには、常にきれいな状態に保つことが大切です。
胃腸の中には約1,000種類、100兆個という数の腸内細菌が生息していて、人間の体を維持するために不可欠な酵素やビタミンを生産しています。
腸内細菌のうちでも善玉菌とよばれる細菌は、腸内で酵素を生産しています。
酵素は約3,000種類があり、必要に応じて種類と生産量が変わり、酵素が最も多く消費されるのは、便秘、不規則な生活、飲酒やタバコ。魚、肉、たまごなどの動物性ばかりの偏った食生活などです。
一方、酵素を増やして働きを良くするには次の3通りです。
- 幸せを感じる
- 体を冷やさない
- 規則正しい生活をする
植物性85%:動物性15%の食事が腸内でセロトニンを増やす鍵
セロトニンを増やすために腸内環境を整えるためには、食事を野菜や果物、海藻類、キノコ類、穀物類、豆類などの植物性のものを85%、肉、魚など動物性のものを15%の比率で食べることがベストです。
動物性の食事の目安は、1日あたり100g程度で肉、魚ともに新鮮なものを食べるようにしましょう。
肉、魚の選び方は次の通りです。
肉類
- 新鮮なもの
- 酸化していないもの
- あまり値段が安くないもの
- 自然放牧で農薬を使用していない牧草を食べて育った牛
魚類
- マグロ、カツオなど赤身
- サバ、イワシなどの青魚
腸内デトックスをする
腸内デトックスとは、食物繊維や酵素を多く含む食べ物を食べたり、飲み物を飲んで腸内をきれいにすることです。
特に便秘は体内に毒素を抱えているのと同じです。
体内の毒素の75%はお通じ(排便)により排出されると言われており、本来なら老廃物などとして排出されますが、便秘になるとこれらの毒素を含んだ老廃物が体内に留まり、腐敗して毒素を放出するため腸内環境が悪化してしまいます。
腸内環境が悪いとストレス緩和のための働きもうまく働きません。
便秘をすると腸で生産されるセロトニンが腸で使われてしまい、脳に届く分が激減してしまうのです。
腸でセロトニンを生産するために行うデトックスの最優先は便秘解消をすることです。
腸内環境が整うとセロトニンが浪費されなくなります。
水分ではなく、「水」を摂る
腸のセロトニンを増やすために、体内の老廃物を排泄することは欠かせません。
そのため、水分を摂って体内の老廃物を体外に排泄しようとする人がいますが、一番重要なのはコーヒー、お茶、紅茶、ジュースやスムージーなどの水分ではなく、「水」を摂ることです。
水を摂ると、代謝を高め不要な老廃物を体内に溜めなくなり、腸内環境が整うためセロトニンを増やす働きが高まります。
また、腸内環境を整えてセロトニンを増やすためには還元力を持つ水がベストです。
水道水を電気分解して低い電位にすると他の物質を還元する還元水になります。
そのため、体内に必要なミネラルを電子がつけた水になるため、還元力がある水ができあがります。
還元力がある水は、腸内に溜まった不要物を取り除き、結果セロトニンを増やします。
他にも体内環境をよくし、セロトニンを増やすタイプの水があります。
- 還元力ある水
- マグネシウムやカルシウムがバランスよく含まれた硬水
- マグネシウムを多く含む海洋深層水
- 各地の名水や自然の湧き水
さらに体内の酵素を十分に働かせるためにも、常に新鮮な水を飲み、体内を循環させる必要があります。
水を飲むと細胞内は新鮮な体液で満たされます。
そのため、良い水を毎日1〜1.5リットルほど飲むことをおすすめします。
「適度」な運動をする
腸内のセロトニンを増やすためには、適度な運動も効果的です。
運動をすると血液やリンパの流れが良くなり、新陳代謝が高まるため老廃物が排出されます。
体温が上昇するため、腸内に存在する酵素とその働きに欠かせない補酵素により腸内の神経細胞の働きが高まり、脳に心地よさを伝達してセロトニンを分泌します。
軽く汗ばみ、体がほかほかと温かく感じる程度のことを指します。
ウオーキングやストレッチなどを、脈拍が1分間に90〜100程度で呼吸が乱れない程度を示します。
運動をして疲労を感じてしまうと、体内に大量の活性酸素が発生してしまい、その除去のために大量の酵素が消費されてしまいます。
腸に負荷がかかり、ストレスを感じるためセロトニンが分泌されなくなります。
毎日行うのが理想的です。
セロトニンを増やすために、毎日継続して行いましょう。
腸内環境を整えるおすすめのレシピをご紹介!
セロトニンは食べ物でも増やすことができる神経伝達物質です。
セロトニンのために腸内環境を整えるレシピをご紹介します。
ぜひ、参考にして食卓に取り入れてみてください。
カリフラワーのすり流し
ビタミンCの含有量がいちごやみかんよりも多いカリフラワーは免疫力を高める働きがあります。
加熱してもビタミンCの損失が少なく、炒めものなどにも適しています。
食物繊維も多いので、腸内環境を良くしてセロトニンの浪費を防ぎます。
- カリフラワー 1株
- ごま油 小さじ1/2
- だし 300ml
- 白みそ 大さじ1
- 塩 少々
- 細ネギ 少々
作り方
1.鍋にごま油を入れて中火にかけ、みじん切りにしたカリフラワーを加えて2 〜3分炒める。
2.1のカリフラワーをだしの半量とミキサーにかけ、なめらかなペーストにする。
3.2に鍋に入れた残りのだしを加えたら、白みそを溶いて塩で調味。器に盛って細ねぎを散らす。
白菜のゆず浅漬け
冬野菜の代表、白菜はビタミンCやK、カルシウムや亜鉛などを含むアブラナ科の野菜です。
イソチオシアネートとよばれる辛み成分には抗酸化作用や殺菌、解毒作用があります。
- 白菜 1/6本株
- ゆず 1個
- 昆布 7cm角
- 唐辛子 1本
- 塩 大さじ1弱
作り方
1.白菜は繊維を断つようにヨコに切る。
2. 白い茎の部分は7mm程度の細切りに、葉の部分はざく切りにする。
3.全体に塩をまぶしておく。ゆずは皮の部分をそいで、細切りにする。
4.3と細切りにした昆布、種をはずして輪切りにした唐辛子を和えて冷蔵庫で一晩漬け込む。
パプリカのマリネ
色鮮やかなパプリカは、ピーマンの仲間で、色によってルテイン、カプサンチン、カロテノイドが含まれます。
毎日摂取したいビタミンCの含有量も多いので常備菜としてもおすすめです。
- パプリカ(赤、黄) 1個ずつ
- 菜種油 大さじ3
- にんにく 1/2片
- ローリエ 1枚
- ワインビネガー 大さじ1/2
- きび糖 小さじ1/2
- 塩
作り方1.パプリカはトースターか魚焼きグリルで皮が真っ黒になるくらいまで転がしながら焼き、粗熱が取れたらヘタと種を取り除いて、皮をむき、タテに細切りにする。
2.フライパンに皮と芯をはずして、つぶしたにんにくと菜種油を入れ、1のパプリカ、ワインビネガー、きび糖、塩、ローリエを加えて1分ほど炒め煮する。
まとめ
神経伝達物質、セロトニンは腸でつくられているといわれますが、腸内環境が整うことで腸で消費されず脳に届く分を増やすことができます。
セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれ、ストレスに対して効果があり、不足するとメンタルヘルスにダメージを与えます。
セロトニンを増やす方法は、朝起きて日光を浴びることや、海藻など、腸内環境改善のために食物繊維の含有量が多い食べものを食べ、電気分解した還元力が強い水や硬水などを飲むことです。
さらに、規則正しい生活習慣や適度な運動、腸内のデトックスなども腸で消費されず、脳に届くセロトニンを増やすために重要です。
これらを実践して健やかな毎日を過ごしてください。
【出典】
新谷弘実(2005)「病気にならない生き方」サンマーク出版
新谷弘実(2008)「胃腸は語る」弘文堂
新谷弘実(2008)「図解 病気にならない生き方」サンマーク出版
新谷弘実(2009)「免疫力を高める生き方」マガジンハウス
新谷弘実(2011)「誰でもスグできる! 自然免疫力をぐんぐん高める 200%の基本ワザ!!!」日東書院
【参照】
医療法人社団 平成医会