免疫とタンパク質は関係あるの?免疫力との関連性について解説します。
筋肉や臓器など、私たちの体を作り上げるために欠かせないのがタンパク質です。タンパク質にはさまざまな機能があり、免疫とも重要な関係があることをご存知でしょうか?
今回は、そんなタンパク質と免疫の関連性について解説します。
自然免疫とは?
そもそも、免疫とは体内に侵入したウイルスや細菌などの病原体を、体の外へ追い出すための防御機能のこと。私たちの体には、この免疫機能が元から備わっています。
つまり、病気と戦う仕組みが体内にあるということです。
免疫には、「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類があります。
自然免疫とは、私たちが生まれながらに保有している先天的な免疫のことを指します。
自然免疫は、人間が原始生物であった頃から受け継がれているものです。
それに対し、獲得免疫とは生物が脊椎動物に進化してから獲得した、後天的な免疫のことを言います。
それでは、自然免疫と獲得免疫は、どのように異なるのでしょうか。
自然免疫について
私たちの体には、60兆個もの細胞があります。
そして、この細胞のひとつひとつが自然免疫を有することがわかっています。
病原体が体内に侵入してきたときに、真っ先に働くのが自然免疫です。侵入を感知した細胞は、抗菌物質や抗ウイルス物質をすぐさま分泌します。
このとき、周囲の細胞にも危機を知らせ、ともに病原体と戦う態勢を整えます。
自然免疫は、外敵の侵入に備える前線部隊のようなもの。自然免疫によって病原体の侵入を食い止めることが、感染を防ぐための第一歩となるのです。
したがって、この自然免疫こそが健康の鍵を握っているとも言えるでしょう。
獲得免疫との違い
一方、自然免疫の後ろに控えているのが、獲得免疫です。
獲得免疫の主役は、白血球です。白血球は、その働きから、免疫細胞とも呼ばれています。白血球にはさまざまな種類があり、自然免疫だけでは防ぎきれなかった病原体を段階的に迎え撃ちます。
このように、獲得免疫は自然免疫の補佐のような役割を担っているのです。
一般的に、これまで免疫と言えば、白血球が担う獲得免疫が重視される傾向にありました。
しかし、実のところ自然免疫こそが免疫の主体であることを忘れてはいけません。
また、獲得免疫は特定の細胞に備わる機能であるのに対し、自然免疫は全ての細胞に備わる機能なのです。
なぜ免疫力の低下が起きるのか?
それでは、なぜ免疫力は低下してしまうのでしょうか。免疫力が低下しているときに、細胞内では何が起こっているのか見ていきましょう。
細胞内の「ゴミ」が原因だった?
免疫力を維持するためには、免疫機能を有する細胞自体が元気であることが重要です。細胞内には、ミトコンドリアと呼ばれる器官が存在しています。
ミトコンドリアは、外から取り入れた栄養や酸素を、最終的にエネルギーへと変換する役割を担っています。そんなミトコンドリアの働きを妨げるものが細胞内に増えると、細胞の働きは低下してしまいます。
いわば、細胞内に「ゴミ」がたまっているようなもの。ゴミが増えることで細胞の活動は阻害され、結果として、免疫力の低下を招いてしまうのです。
ゴミを取り除くにはどうすべきか
細胞内にたまってしまったゴミを取り除くためには、どうすればいいのでしょうか。
まず、細胞内のゴミの正体は、不要なタンパク質です。栄養素として体内に吸収されたタンパク質は、小腸でアミノ酸に分解され、再び新しいタンパク質へと合成されます。
このとき、タンパク質を合成する過程で不要なタンパク質=ゴミが発生してしまうのです。そんなゴミを取り除く鍵となるのが、酵素です。
酵素の正体も、元をたどればタンパク質です。酵素には、細胞内のゴミを取り除く働きがあります。さらに、酵素はゴミを再利用することもできるのです。
そのため、細胞の掃除には、まずは体内に十分な酵素を確保しておく必要があります。
解毒
細胞内の掃除を通じて免疫力の維持に欠かせない酵素ですが、体内では日々酷使されています。酵素を消費してしまう活動の例に、解毒があります。
解毒が必要なものとして、タバコやアルコールに含まれる化学物質、食品添加物、薬などが挙げられます。これらが体内に入ってくると、解毒のために大量の酵素が消費されてしまいます。
特に、タバコやアルコールは大量の活性酸素を発生させ、活性酸素を解毒するためにもまた酵素が必要になります。
免疫力低下の大きな要因となるので、とりわけ注意したい生活習慣です。
消化
消化も酵素を消費する代表的な活動です。特に、腸では食事のたびに大量の消化酵素を消耗します。
食べすぎや、よく噛まずに食べることは、消化酵素の浪費につながります。反対に、食物繊維を多く含む食品は、食品中の酵素が自ら消化を促してくれるので、酵素の節約になります。
ストレス
意外なところでは、ストレスによっても酵素は消費されてしまいます。酵素は、生命のエネルギーをつかさどるもの。
当然、脳の活動にも酵素は欠かせません。不規則な生活や精神的なストレスも、脳が疲れる一因に。
心身ともに健康な生活を送ることは、免疫力を保つためにも大切です。
免疫力を高めるにはどうすれば良い?
ここまで酵素を中心に説明してきましたが、もちろん栄養素はそれだけではありません。酵素も含め、免疫力を高める栄養素について詳しく見ていきましょう。
自然免疫力を高める3つの栄養素グループ
免疫力を高める栄養素を、大きく3つのグループに分けてご紹介します。
水と酵素
まず、重要なのが水と酵素です。これまでの栄養学では軽視されやすい存在でしたが、どちらも生命活動には欠かせません。
私たちの体の、60〜70パーセントは体液という水で満たされています。さらに、体液の70パーセントは細胞内液です。
絶えず新鮮な水分を循環させることが、細胞の活発な働きにつながります。
酵素には、先に述べたように、細胞内のゴミを取り除く働きがあります。豊富な酵素が体内できちんと働いていることが、免疫力を高めるポイントです。
ミネラル・ビタミン
次に、ミネラルとビタミンも重要な栄養素です。
これらは酵素の働きを助けることから、補酵素とも呼ばれています。ミネラルは、体内に含まれる量はごくわずか。
しかし、不足すると酵素の働きが低下してしまいます。
また、ビタミンには抗酸化作用があります。
細胞の働きを悪化させる原因となる酸化を防ぐことで、免疫力の低下を防ぎます。
ファイトケミカル・食物繊維
最後に、ファイトケミカルと食物繊維も忘れてはいけません。ファイトケミカルには、ビタミンと同じく抗酸化作用があります。
ファイトケミカルは植物特有の成分で、代表的なものにはリコピンやカテキンなどがあります。
ファイトケミカルの役割は、酵素を助けるミネラルやビタミンの、さらに補助のような位置づけです。
あまり目立ちませんが、免疫力を陰ながら支えているのです。
食物繊維も、植物に多く含まれている成分です。
腸の掃除に有効なものとして有名ですが、腸をきれいに保つことは細胞の活性化にもつながります。
免疫力を高めるためにも無視できない存在と言えるでしょう。
まとめ
タンパク質と免疫の関連性についてご紹介しました。タンパク質は、免疫と密接な関わりがあります。
正しく理解し、病気を寄せつけない体づくりに活かしましょう。
※本記事は商品の効果効能を提唱するものではございません。
【出典】
新谷弘実(2011)「自然免疫力をぐんぐん高める」日東書院本社