「ファスティングってどうやるの?」
「どんな効果が期待できるの?」
このような疑問を抱く人は少なくありません。
美容・健康に良いとされるファスティングですが、しっかりと効果を得るためには正しいやり方を理解する必要があります。
本記事ではファスティングのやり方や期待できる効果、おすすめの食品について紹介します。
ファスティングとは?
ファスティング(fasting)とは、日本語に訳すと「断食」を意味する言葉です。古くから民間療法や修行の一環として行われてきた方法で、期間を決めて食事を断つことで美容・健康面にメリットがあるといわれています。
近年はダイエット目的でファスティングを行う人も増えていますが、他にもさまざまな効果があると考えられています。単純な食事制限とは異なり、正しいやり方で行えば体の不調を整える効果も期待できるでしょう。
ファスティングのおすすめなやり方
一口にファスティングといっても、やり方はさまざまです。
今回は新谷弘実医学博士が推奨する15時間断食を活用したファスティング方法を紹介します。
Step0.15時間断食することを心がける
ファスティングを成功させるために大切なのが、15時間断食を心がけることです。15時間断食とは、新谷弘実医学博士が推奨する断食方法です。
一般的に知られている「16時間断食」と同様の効果があると考えられており、断食初心者でも取り組みやすい方法といえます。16時間断食について知りたい方は、以下の記事も合わせてご覧ください。
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16 時間断食とは?メリット・デメリットややり方を詳しく解説
Step1.夕食を早めに摂る
ファスティングの前日は、夕食を早めに済ませます。遅くても21時までに夕食を済ませておくと、次の日の12時まで食事を控えることで、ちょうど15時間の断食を達成できます。
食べ物によっては消化・吸収に時間がかかる場合もあるため、18〜19時を目安に夕食を済ませると良いでしょう。
Step2.朝食時に生のフルーツを食べる
ファスティング当日の朝食は、生のフルーツを少量食べます。水分が多く低カロリーなフルーツは、適量であればファスティング中に食べても問題ありません。
生のフルーツには酵素が含まれており、胃腸の調子を整える作用が期待できます。ファスティング中に不足しがちなビタミン類も補給できるので、体調不良の予防にもなるでしょう。
Step3.15時間経ったら昼食を摂る
前日の夕食から15時間が経過したら、昼食を摂ります。15時間断食後の胃腸は良くも悪くも食べ物を消化・吸収しやすい状態になっているため、体に良い物を意識的に選ぶと良いでしょう。
ファスティング当日の昼食では、ラーメンや揚げ物といった脂っこい物は控えることをおすすめします。和食のような消化・吸収されやすい食事メニューで、腹八分目にとどめることが大切です。
ファスティングで期待できる効果
ファスティングを行うと、次のような効果が期待できます。
- ダイエットにつながる
- 消化器官が休まる
- 肌が潤う
- 便秘が解消する
- 免疫力が高くなる
期待できる効果を覚えておくと、ファスティングをする際のモチベーション維持にもつながるでしょう。一つひとつ解説します。
ダイエットにつながる
食べ過ぎの方がファスティングを行うと、通常の食事よりも摂取カロリーが抑えられるため、ダイエット効果が期待できます。不足分のエネルギーは体内の脂肪を燃焼して補うので、体脂肪率も減少する可能性があるでしょう。
ファスティング期間についてはさまざまな意見があるものの、1〜3日間程度にするのが一般的です。まずは1日だけやってみて、慣れてきたら3日間ファスティングにも挑戦してみてください。
なお、かならずしもファスティングによってダイエットの効果があるとは断定できません。また、効果は個人差があるため、無理のない範囲で始めたり続けたりすることが大切です。
消化器官が休まる
一定期間のファスティングにより、消化器官が休まるというのもメリットの1つです。朝・昼・夜と1日3食しっかり食べる食生活をしていると、消化器官は休むことなく働き続けることになります。
人間が休みなく走り続けると疲れてしまうのと同様に、胃や腸も休息期間を設けてあげないと、疲労が蓄積して本来の力を発揮できなくなる可能性があります。定期的にファスティングを行なって消化器官を休めることで、胃腸の調子が改善されるでしょう。
肌が潤う
ファスティングを行うと、腸内環境が改善されます。腸内環境が改善されると腸内の悪玉菌が減少し、硫化水素やアンモニアといった有害物質の生成が抑えられる可能性があります。
また、老廃物を排出しやすくなるため、肌のターンオーバー正常化にもつながるでしょう。
便秘が解消する
ファスティングにより腸の蠕動運動が活発になると、便秘の解消にもつながります。今まで休みなく働き続けていた内臓を休ませることで、本来の力を発揮できるようになるためです。
1〜3日間といった短期間のファスティングでも、腸内環境の改善効果は期待できます。便秘でお悩みの人はチャレンジしてみるとよいでしょう。
免疫力が高くなる
腸内には数多くの免疫細胞が存在します。ファスティングにより腸内環境が良くなると、免疫細胞の活性化につながります。
腸内で活性化した免疫細胞が血液やリンパ液に乗って全身へと運ばれるため、免疫力の向上が期待できるでしょう。
ファスティングでおすすめの準備食・回復食
ファスティングを行う際は、体調不良やリバウンドを防ぐために、準備食期間と回復食期間を設けることが大切です。この期間を適当に済ませると、断食期間中に体調不良に陥りやすくなるので注意しましょう。
準備食期間・回復食期間におすすめの食べ物を紹介します。
野菜類
野菜類に多く含まれる食物繊維は、腸内環境の改善に効果的です。腹持ちが良く、便秘解消にも効果的なので積極的に摂るようにしましょう。厚生労働省においても、肥満や脂質異常症(高脂血症)に効果が期待できると明記しています。
特に、ピーマンやにんじんのような緑黄色野菜にはビタミン類やカロチノイド類が豊富に含まれております。
回復食
回復食とは、ファスティング後に摂取する胃腸にやさしい食事です。具体的にはおかゆ・スムージー・煮物など、やわらかくて消化の良いものが挙げられます。
いきなり普通の食事に戻すのではなく、回復食を挟むことで、胃腸の負担を軽減できます。
発酵食品
納豆やチーズ、ヨーグルトなどの発酵食品もおすすめです。発酵食品には乳酸菌や酵母といった微生物が含まれており、さまざまな栄養素が産生されています。
代謝を促進したり悪玉コレステロールを減らしたりする効果も期待できるので、積極的に食べることをおすすめします。
魚
魚は良質なタンパク質を含む食品の1つです。特にイワシやサバのような青魚には、DHAやEPAという必須脂肪酸が含まれており、体の調子を整えるために重要な役割を果たしています。
また、魚は牛肉や豚肉、鶏肉と違って不飽和脂肪酸が豊富です。牛肉や豚肉、鶏肉に含まれる飽和脂肪酸は、摂りすぎるとLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪を増やすことが報告されています。タンパク源はできるだけ魚から摂取することがおすすめです。
酵素ドリンク
酵素ドリンクとは、その名の通り酵素が含まれた飲み物です。酵素ドリンクはできるだけ手作りしましょう。酵素は70度を越えると失活してしまいます。
市販の酵素ドリンクは、基本的に65度以上の温度で加熱殺菌しなければ販売できないとされているため、十分に酵素を取り入れられない可能性があるでしょう。効率よく酵素を取り入れるためにも、手作りの酵素ドリンクがおすすめです。
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ファスティングの注意点
ファスティング中は、次の3点に注意しましょう。
- こまめに水分補給する
- 無理はしない
- 運動しすぎない
いつもより食べる量を制限している分、気をつけなければならないことがいくつかあります。一つひとつの注意点について、詳しく説明します。
こまめに水分補給する
ファスティング中は、こまめに水分補給するように意識しましょう。食事から摂取していた水分を、ファスティング中は摂取できなくなるためです。
人間は1日に約2,400mlの水を摂取・代謝します。そのうち1,100mlがふだんの食事から摂取するとされています。したがって、ファスティング中はふだんの2倍近く水を飲む必要があるといえるでしょう。
水分不足は頭痛やめまいの原因にもなるため、1時間に1回くらいは水を飲むようにしてください。
無理はしない
無理をするのはやめましょう。無理なファスティングは逆効果になりかねません。
ファスティングは短い期間で行うことがおすすめです。また、しっかりと栄養素を補給することも忘れないようにしてください。
万が一、体調が悪くなった際は、すぐに中断しましょう。
運動しすぎない
ファスティング中はエネルギーが不足しやすい状態にあるため、運動しすぎないのも大切なポイントです。長距離ランニングや筋トレなどは体への負担が大きくなりすぎるため、控えたほうが良いでしょう。
ヨガや散歩、ストレッチなどの軽い有酸素運動は、気分転換にもなるのでおすすめです。
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ファスティングはどのような人におすすめ?
さまざまな効果が期待できるファスティングですが、人によってはおすすめできない場合もあります。おすすめな人・おすすめできない人の特徴を紹介します。
おすすめな人の特徴
ファスティングがおすすめな人の特徴は、以下の通りです。
- 健康的な毎日を過ごしたい人
- 若々しさを取り戻したい人
- 体の内側からきれいになりたい人
それぞれの特徴について解説します。
健康的な毎日を過ごしたい人
ファスティングを行うと、通常の食事よりも摂取カロリーが抑えられるため、ダイエット効果が期待できます。あくまでファスティングは食べ過ぎを防ぎ、胃腸を休ませることが目的です。
若々しさを取り戻したい人
ファスティングを行うことで、若々しさを取り戻せる可能性があるでしょう。ファスティングによって腸内環境が改善されると、有害物質の産生が減少するため、肌トラブルの予防につながることもあるからです。
肌の調子が整うことから、若々しく見える場合もあります。
体の内側からきれいになりたい人
ファスティングすることで胃腸が休まると、腸内細菌のバランスが整いやすくなります。善玉菌が増えることで老廃物の排出が促進され、体の内側がきれいになるといえるでしょう。
腸内がすっきりすることで気持ちも前向きになれる可能性があります。
おすすめできない人の特徴
ファスティングをおすすめできない人の特徴は次の通りです。
- 妊娠中・生理中の女性
- 子どもや高齢者
- 持病がある方
上記のうち1つでも当てはまる場合は、ファスティングは控えたほうがよいでしょう。
妊娠中・生理中の女性
妊娠中の女性には、ファスティングはおすすめしません。妊娠中はお腹にいる赤ちゃんの分までしっかりと栄養を摂らないといけないためです。
生理中の女性は、体調を崩しやすい状態にあります。軽いファスティングであっても、めまいや貧血といった症状につながりかねないため、生理中は控えたほうが無難です。生理が終わって体調が万全なときに、ファスティングをはじめましょう。
子どもや高齢者
成長期の子どもはファスティングを行うべきではありません。成長に必要な栄養素が不足して、その後の人生に大きな悪影響をもたらす可能性があるためです。
また、65歳以上の高齢者もファスティングは控えるべきです。体力や免疫力が低下して、生活に支障が出る恐れがあります。
ファスティングがおすすめなのは18〜60歳の方です。この範囲内にない人は、デメリットのほうが大きくなるのでおすすめできません。
持病がある方
持病がある場合も、ファスティングはおすすめできません。持病の内容にもよりますが、下記に当てはまる人は要注意です。
- 肺、心臓、肝臓、腎臓、胃腸などに持病がある人
- 過去に脳卒中や心筋梗塞になったことがある人
持病とまではいかなくても、体調が優れない人や過剰なストレスを抱えている人もファスティングを行うべきではありません。
ファスティングをしても良いかどうか不安な人は、かかりつけの医師に相談のうえで取り組むと安心です。
ファスティングをはじめてみよう
ファスティングは期間を決めて食事を断つことで、美容・健康に良い効果を得る方法です。さまざまなやり方がありますが、15時間断食を活用したファスティング方法は、初心者でも気軽に取り組めるのでおすすめです。
ファスティングをすることで、ダイエットにつながったり免疫力が高まったり、他にも多くの効果が期待できます。野菜類や魚介類を中心に食事を摂りつつ、自作の酵素ドリンクも組み合わせるとより効果的でしょう。
健康的な毎日を過ごしたい人、若々しさを取り戻したい人はファスティングに挑戦してみてはいかがでしょうか。
【出典】
新谷弘実(2005)「病気にならない生き方」サンマーク出版
新谷弘実(2008)「図解 病気にならない生き方」サンマーク出版
厚生労働省 e-ヘルスネット|緑黄色野菜
厚生労働省 e-ヘルスネット|食物繊維(しょくもつせんい)
厚生労働省 e-ヘルスネット|不飽和脂肪酸
厚生労働省|ダイエット(だいえっと)
厚生労働省|妊産婦のための食事バランスガイド