すっかり日本でもおなじみの言葉となった「ファスティング」。美容や健康のために、実践している人も多いのではないでしょうか。そんな中、ファスティングの最中にお腹が空いてしまい、飲み物なら口にしてもいいのか悩んだことはありませんか?
しかし、飲み物選びを間違えると、折角のファスティングの効果が台無しになってしまうことも。そこで、今回はファスティング中におすすめの飲み物について解説していきます。
ファスティングとは
まず、ファスティングの定義や目的について改めて整理していきましょう。正しい方法でファスティングを行うためには、目的をきちんと理解することが大切です。
一定期間食事をしないこと
つまり、一定期間食事を摂らないことを指しています。とはいっても、一切飲食をしないというわけではありません。
ファスティングのメソッドはさまざま存在していますが、水や酵素など、必要な栄養素の補給は怠らないのが一般的です。ここが、食事を一切摂らない「絶食」とは異なる部分です。
消化酵素の消費を抑え代謝酵素を活性化させる
ファスティングといえば、ダイエット目的で行うものという認識が強いかもしれません。もちろん、食事を抜くので1日の総摂取カロリーは減ります。その結果、自然と体重の変化も期待できるでしょう。
しかし、それはあくまでも副次的な効果にすぎません。真の効果は、別のところにあるのです。
着目したいのが、健康の鍵を握る腸の状態です。
私たちは、食事から摂取した栄養素を腸で消化吸収しています。しかし、食べ過ぎや不適切な食事などにより消化吸収が十分に行われないと、食べたものが腸に残ったままになってしまいます。
それにより、便秘を引き起こすどころか、溜まった便はさまざまな有害物質を発生させていくのです。
例えるなら、腸の中に生ゴミを放置しているようなもの。
放っておくと、腸内環境はどんどん悪化していきます。やがて、炎症やポリープを招くことにもなりかねません。
こうした状況を防ぐために効果的なのが、ファスティングです。
ファスティングは、一定期間食事を摂らないことで、意図的に飢餓状態を作り出します。すると、体内の消化酵素が活性化し、消化吸収が十分に行われるようになるのです。
消化酵素の浪費を防ぐことは、代謝酵素の活性化につながるとも考えられています。腸を元気にし、本来の機能を取り戻すことこそが、ファスティングの大きな意義なのです。
おすすめの飲み物は水
さて、一定期間食事をしないことがファスティングなのであれば、飲み物は何を飲んでもいいのでしょうか。
一口に飲み物といっても、選択肢はさまざま。空腹を紛らわすために、何か水以外のものも飲みたくなりますよね。
しかし、ファスティング中におすすめの飲み物は、ずばり「水」です。
それでは、なぜ水がおすすめなのでしょうか。
夕食以降から翌朝まで水だけを摂る
私たちの体は、常に良質な水を求めています。
しかし、水以外の飲み物は、水に余分なものが溶けてしまっている水溶液のようなもの。
体が必要としている純粋な水を得るためには、余分なものを取り除く必要があり、酵素を消耗してしまいます。そのため、水分補給は水で行うことが大切なのです。
さらに、冷たい水は腸を冷やす原因となるので、常温の水を飲むようにしましょう。ファスティング中に限らず、常に意識したいポイントです。
中には、カロリーのないお茶なら飲んでもいいのではないかと考える人もいるかもしれません。
しかし、お茶にはカフェインが含まれています。
カフェインには利尿作用があるため、水分を補給したつもりが脱水症状を引き起こすことになりかねません。
そのほか、野菜ジュースなら手軽に栄養も摂れるので、ファスティング中につい飲みたくなりますよね。しかし、市販の野菜ジュースには、思った以上に糖分が含まれているものです。
やはり、ファスティング中の飲み物としてはおすすめできません。
夜からファスティングを行う場合、夕食以降は水だけを摂るようにしましょう。
もちろん、朝の水分補給も水で行ってくださいね。
新谷弘実式おすすめのファスティング方法
ここからは、新谷弘実がおすすめするファスティングの方法を具体的にご紹介します。
用意するものは水とフルーツ。これさえあれば特別な準備は不要なので、すぐに実践できますね。
夕食を早めに摂り朝は水とフルーツだけ摂る
新谷酵素がおすすめするファスティングの基本となるのが「朝のファスティング」です。
前日の夕食を18〜19時頃までに摂るようにします。
どんなに遅くとも、21時時以降は何も食べないようにしましょう。
飲み物も例外ではありません。夕食の後、口にできるのは水だけです。
そのまま、お腹を空にした状態で就寝します。
翌朝、起きたらすぐに常温の水を500ミリリットルほど飲みましょう。このとき、時間をかけてゆっくり飲むようにしてください。
その後、少し時間をおいてから生のフルーツをいくつか食べましょう。
酵素がたっぷり含まれた、季節のフルーツを選ぶといいですよ。
ジューサーで生ジュースにするのもおすすめです。
また、プルーンやアンズなどのお好みのドライフルーツを一緒に食べてもかまいません。午前中は、とにかく加熱調理したものを一切摂らないように注意してください。
ただし、水は午前中のうちに追加で500ミリリットルほど飲むようにします。
この頃には、お腹がグ〜ッと鳴るような空腹感に襲われることでしょう。辛いかもしれませんが、この飢餓状態を少なくとも1日に1回は作り出すことが重要なのです。
昼食は肉類や脂っこいものを避けて食べましょう。
できれば、脂質の少ない和食を選ぶのがおすすめです。また、よく噛んで食べることも重要です。
昼食を12時に摂ったとしても、前日の夕食を19時までに済ませていれば、17時間の断食を達成できることになります。
紹介したスケジュールはあくまで一例です。
朝から肉体労働がある人や夜勤がある人などは、自身のライフスタイルに合わせて調節してみてください。夕食を果物と水だけにして、朝食をたっぷり食べるようにしてもかまいません。
もちろん、体調が悪いときは無理に行わないようにしましょう。まずは数日間、続けてみてください。
特に、効果を実感するのが排便時です。
食べる量は減っているはずなのに、驚くほど大量の便が出ることでしょう。飢餓状態を体が察知すると、生存に欠かせない免疫機能を担う腸が活性化するためです。
これこそが、先にも述べた通り、ファスティングの真髄なのです。
また、便秘状態が改善されて腸がきれいになることは、全身の健康にも嬉しい効果をもたらします。
肌にツヤが出てきたり、メンタルの調子がよくなったりする人も。何事も、効果が実感できると続けやすいですよね。
まとめ
これまで当たり前のように受け入れていた1日3回の食事。実は、腸には大きな負担となっていたのです。
ファスティングによって、腸を休ませることは体内酵素の活性化にもつながります。良質な水を摂取して、ファスティングの効果をより高めていきましょう。
【出典】
新谷弘実(2010) 「Dr.新谷の「腸活」ダイエット」主婦と生活社出版
新谷酵素(2020)「酵素LIFEのすすめ」