タンパク質がアレルギーの原因の理由とは
私たちの体には免疫反応が備わっていて、ウイルスや細菌などの有害なものが入ってきたときに、これらを攻撃して体を守ろうとする働きがあります。
特定の物質に対して過剰に反応してしまうこと
食物アレルギーの場合は、タンパク質への異常な免疫反応です。
アレルゲンとなりやすいのは比較的大きな分子のタンパク質です。
- 即時型(アレルギーとなるものに触れたり食べたりしてから数時間内に症状が出るもの
- 遅延型(24時間から数週間後に症状が出るもの
があります。
即時型
アレルゲンが体内に入ってきたとき、これをやっつけようとIgE抗体というタンパク質がつくられます。
身体の中に入ってきたアレルゲンに対して働きかけ身体を守る機能を持つ抗体のこと
そして、再びアレルゲンが侵入してきて、このIgE抗体のアンテナに結合すると、マスト細胞の中につまっているヒスタミンなどの化学物質が一気に放出され、かゆみなどの症状があらわれます。
組織の栄養を顆粒の形で蓄えている細胞
これが即時型のアレルギー反応です。
遅延型
遅延型のアレルギー反応では、免疫細胞が中心となりIgG抗体をつくったり、白血球の中の好酸球やマスト細胞とともに反応を引き起こします。
IgG抗体の中にはアレルギー反応を抑制してくれるものもありますが、各臓器に炎症を引き起こすものもあります。
卵アレルギーは小さい子どもによく起こる
食物アレルギーは子どもに多くみられるのが特徴です。
子どもに食物アレルギーが多いのは、成長段階で消化機能が未熟で、アレルゲンであるタンパク質を小さく分解(消化)することができないのが1つの要因と考えられています。
そのため、成長にともなって消化吸収機能が発達してくると、原因食物に対して耐性(食べられるようになること)がつく可能性は高いです。
しかし、中には大人になっても症状が続くこともあり、幼児期後半以降(成人も含む)に発症した場合には治りにくいとも言われています。
オボアルブミンとオボムコイド
鶏卵アレルギーがある場合は、卵白に含まれる「オボアルブミン」と「オボムコイド」というタンパク質が主なアレルゲンです。
このうちオボアルブミンは、加熱するとタンパク質の構造が変化してアレルゲンではなくなります。
そのため、鶏卵アレルギーでもオボアルブミンのアレルギーの場合は、十分に加熱をすれば鶏卵が食べられることがあります。
加熱が十分ではない半熟卵や生卵は、オボアルブミンの性質が変化しないためアレルゲンとなります。
マヨネーズ、カスタードクリーム、アイスクリーム、マシュマロなどに使われている鶏卵は十分に加熱されていないので、気をつける必要があります。
蛋白アレルギーはその他の症状の原因にもなる
・蕁麻疹
・アレルギー性鼻炎
・ぜんそく・膠原病
・潰瘍性大腸炎
などが増え続けているのは、動物性タンパク質の摂りすぎとそのアレルギー反応が主な原因と考えられています。
炎症が起きる部分は、本来の機能が低下しているところです。
本来の機能とは、皮膚や気管支粘膜の機能として、外界からのバリア機能と水分などが蒸発するのを防ぐ役割のことです。
そこに炎症が起きていると、アレルゲンが体内に取り込まれやすくなり、様々な症状の原因となるのです。
タンパク質の取りすぎによるその他の影響
これまでの研究発表の中には、乳糖は白内障と関係が深く、乳タンパクは関節炎や呼吸器系の病気をつくりやすいといったことがあり、アメリカの学者の中には牛乳や乳製品を摂らないように勧める人もいます。
カルシウムの不足を招く可能性がある
穀物や雑穀物のタンパク質は食べすぎることはあまりありませんが、動物タンパク質はとりすぎになりがちです。
過剰に摂取されたタンパク質は、どんなに良質なタンパク質でも排泄されるだけで、ぜんぶ無駄になってしまいます。
そして、この無駄なタンパク質を分解して尿として排泄するためには、その役割を受け持つ肝臓や腎臓に大きな負担がかかります。
また、多量のアミノ酸が分解されると血液が酸性に傾き、それを中和するためには多量のカルシウムが必要となります。
このカルシウムはどこから引き出されてくるかというと、からだの骨や歯からです。
こうして取り出されたカルシウムも、多量の水分とアミノ酸といっしょに、尿として排泄されてしまいます。
このようにして、タンパク質のとりすぎはカルシウム損失を招き、その結果、骨や歯が弱くなる、病気にかかりやすくなる、といったことになります。
肉や加工品をたくさん摂ることによる影響
肉や加工品をたくさん摂っていると、さらにカルシウム不足になると新谷弘実医学博士が言っております。
なぜなら、肉や加工品は、カルシウムに対してリンの比率が圧倒的に高いからです。
血液中では、カルシウムとリンは、量的に1対1または1対2のバランスでとられています。
そのため、肉や加工品を食べすぎているとリンの割合が高くなってしまい、骨や歯からカルシウムを抜き出してバランスをとろうとするのです。
さらに、リンをとりすぎていると、腸内でリンとカルシウムが結びついてリン酸カルシウムがたくさんつくられます。
このリン酸カルシウムも体内には吸収されないので、排泄物となって体外へ出てしまいます。
つまり、ここでもカルシウムが損失されるのです。
このように、タンパク質のとりすぎは体内のカルシウム不足を招く可能性があるので注意が必要です。
腸相の悪化
新谷弘実医学博士によると、内視鏡で多くの人たちの胃相・腸相を見てきていえることは、大部分の人が牛乳を飲むことによって胃相・腸相が悪くなり、難病ともいえる悪性炎症性の大腸炎もできるとのことです。
タンパク質をとりすぎると、体内で完全に分解や吸収ができず、腸内で腐敗を起こしてたくさんの毒素を作ります。
大腸には縦走筋と輪状筋という筋肉があるのですが、動物食が多いとこの2つの筋肉が肥厚して短くなります。
内径も細くなり、腸壁のひだが増え、ちょっとした刺激で簡単にけいれんを起こすようになります。腸のぜん動運動によって腸の内圧が異常に高まると、憩室症と呼ばれる障害も生じてくることもあります。
このような腸相で一番問題なのは、便がスムーズに運ばれなくなって便秘がちになり、宿便の原因となることです。こういった悪い腸相を改善するためには、動物食を減らして穀物や野菜、果物等の植物食を多くすることや、運動をして胃腸の作用を促進することです。
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まとめ
体内で完全に分解や吸収がされず、腸内で腐敗を起こしたタンパク質は、毒素を作る要因にもなり、また直接腸から異種たん白として血液に入るとアレルギー反応の原因にもなってしまいます。
腸内に未消化物が多かったり酵素不足であったりすると腸内環境が悪化し、アレルギーを引き起こしやすくなります。
腸内の善玉菌を増やし、野菜や果物などから食物繊維、ビタミン・ミネラル、酵素をたっぷり摂ることによって腸内の未消化物を減らし、ストレスを減らして腸の症状を改善すると、アレルギー症状の緩和も期待できます。
また、食物アレルギーの場合、アレルゲンがはっきりしたら原因食物を食べない食物除去をおこないます。
ただし、栄養不足で健康や成長に影響が出ないよう、専門の医師としっかり相談して食事管理を行うことが大切です。
特に小さい子どもには注意が必要です。
食品には、アナフィラキシーを引き起こすリスクが高い「特定原材料」の表示が食品衛生法で定められています。
特定原材料とは、卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生7品目のことを指し、極めて少量でも容器包装された加工食品に入っていれば、原材料が表示されています。
また、特定原材料に準ずるもの21品目については、表示は義務ではありませんが奨励されています。
このように、食品には裏面にアレルギー表示があるため、アレルギーが気になる方は原材料表示をチェックしてから購入してみてください。
【出典】
新谷弘実(1998)「胃腸は語る」弘文堂
内山葉子(2014)「子どもの病気は食事で治す」評言社
アナフィラキシーってなあに.jp