腸活とは?腸内環境を整える効果について
「腸内環境を整える活動」のこと。
腸は私たちの体の器官の中でも消化や吸収など、さまざまな役割を担っています。実は、腸には体内に存在する全ての免疫細胞のうち、6割以上がいると言われています。
また、睡眠ホルモンに関わるセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質を合成しているのも腸です。
このように、健康を維持する上で腸はさまざまなところに関与しています。
消化や免疫、呼吸などの私たちが生命活動を営む上で欠かせない働きに、腸は広く関わっているのです。
つまり、腸内環境を整えることは全身の健康状態を向上させることに繋がります。
腸活と言っても、具体的にはどのようなことを行うのでしょうか?
腸活の目的は「腸内細菌を整えること」にあります。
そのため、以下が代表的な手段として挙げられます。
- 食事を通じて腸内環境を整える
- 腸に直接刺激を与えるマッサージを行う
免疫の中枢を担っている腸内フローラを整える
腸内に存在する細菌たちのことです。
腸内細菌は、善玉菌・悪玉菌・日和見菌の3種類に分類でき、3種の細菌のバランスが腸内フローラの良し悪しに直結するのです。
腸内フローラの状態と、私たちの免疫機能は深く関わっています。
腸内フローラが良い状態だと、体内での免疫機能も強くなり、逆に腸内フローラが悪い状態だと、体内での免疫機能も弱くなります。また、悪玉菌は腸内で毒性物質を産生してしまうので、腸内で増えすぎると私たちの健康に悪影響を及ぼします。
善玉菌は悪玉菌の増殖を腸内で抑え、排便や水分吸収を促進することで、腸内環境をよくしてくれます。日和見菌は善玉菌と悪玉菌のいずれか多い方に加勢します。
つまり、腸内フローラを良い方向にも、悪い方向にも向かわせることができるのです。
腸内フローラは善玉菌の数が悪玉菌の数よりも多いような状態が理想的と言われており、腸活を通じてそのような状態に近づけようというわけです。
肌トラブルの改善
腸内フローラが乱れると、肌荒れや吹き出物に繋がることがあります。
悪玉菌が腸内で優勢な状態になると、腸内では毒性物質やガスが作られます。
腸管内でそれらの有害物質が吸収され、血管を経由して全身に巡らされることで、肌にまで有害物質が到達してしまうのです。また、悪玉菌による産物は私たちの体にとっては有害なものなので、体外に排出しようとする働きもあります。
私たちの体は、悪玉菌の作る産物を肌から一部排出しようとするので、その結果、肌に負担がかかって、肌トラブルに繋がる可能性があるというわけです。
そのため、腸活によって腸内フローラを整えることで、悪玉菌が腸内で優勢になることを防げれば、必然的に肌トラブルの改善に繋がります。
便秘改善
便秘の時は、腸内での善玉菌の活性が悪くなっていることが多いです。善玉菌は腸内で排便を促したり、腸での水分の吸収を促進する効果があります。
しかし、善玉菌の活性が悪くなると悪玉菌の増殖に繋がり、腸内環境を悪化させてしまうこともあります。
腸活を行い善玉菌を増やすための食生活を意識することで、以下のような効果が期待できます。
- 善玉菌が活性化
- 日和見菌が善玉菌に加勢することで腸内フローラが良好になる
そのため、腸活で便秘を改善する効果も見込めるのです。
睡眠不足の改善
腸内環境を整えることは睡眠の質の向上にもつながることが知られています。
私たちが「夜になると眠たくなる」のは、メラトニンという睡眠ホルモンの作用により起きます。
メラトニンはセロトニンという物質から合成されるのですが、そのセロトニンが合成される場所が腸内なのです。腸内フローラのバランスが整っており、善玉菌が優勢な状態であればあるほどセロトニンの生成は活発になります。
つまり、メラトニンも盛んに合成されるようになり、質の高い睡眠をとれるようになるということです。腸活に取り組み、腸内環境が良い状態になれば、睡眠の質も向上し、睡眠不足も改善されます。
腸活におすすめの飲み物
「腸活にはどんな飲み物が効果的なの?」と考える人もいるかもしれません。ここでは、腸活を行うのにおすすめの飲み物についてご紹介します。
水・白湯が胃腸には良い
腸活でおすすめしたい飲み物の1つに水があります。さまざまな飲み物がありますが、できるだけ腸に優しいものを選ぼうとすると、砂糖や保存料など余計なものが入っていない「水」が最適です。
水の中でも、マグネシウムやカルシウムなどの栄養素が豊富な硬水が特におすすめ。普段の飲み水を硬水のものに変えるだけでお手軽に腸活をできるところもポイントです。
硬水が腸活に良い理由として、以下が挙げられます。
- 便秘解消効果がある
- デトックス効果がある
- 新陳代謝を高め、腸内環境を整えることができる
ここで、「硬水じゃなければ効果がないのか?」という質問も出てきそうですが、そんなことはありません。
普段自分が飲んでいる水がダメというわけではないです。「できれば硬水がいいよ」という話です。
また、腸活に効果的な水の飲み方ですが、下記要素がポイントになります。
- 朝起きたらまずはコップ1杯の水を飲む
- 常温か温めた水(白湯)を飲む
- 一日1.5~2リットル程度をこまめに飲む
朝起きて水を飲むだけで、腸内が刺激されて排便が促進されます。
また、朝イチから冷たい水などを飲んでしまうと腸がびっくりしてしまい、かえって腸の働きが悪化してしまうこともあります。
そのため、朝は腸に優しい常温水、もしくは白湯を飲むとよいです。白湯には、体をあたため、代謝を促進してくれる効果があります。
腸を温めて、腸内細菌の働きを活性化させる効果が期待できるので、腸活にはピッタリの飲み物と言えます。白湯を飲む際のポイントですが、定期的に時間をかけてゆっくりと飲むことが効果的です。具体的には、150mL程度の量を朝昼晩と5〜10分かけて飲むことが理想です。
白湯を作る際に、水をあたためるという手間もありますが、1週間ほど飲み続けることで何らかの効果を実感する人が多いです。
興味のある人は腸活に白湯を取り入れてみてはいかがでしょうか?
甘酒も腸活にはピッタリ
甘酒には、食物繊維やオリゴ糖が含まれています。
腸内の善玉菌はオリゴ糖をエサにして増殖していくので、甘酒を飲むことで善玉菌が活性化し、腸内環境をよくする効果が期待できます。
また、甘酒には水に溶けにくい「不溶性食物繊維」が含まれています。不溶性食物繊維は腸を刺激することで排便を促すという効果があるので、便秘の改善にも役立ちます。
一日に200mL(カップ一杯程度)飲むとよいです。
お茶に含まれるタンニンは胃腸に悪影響を与えるという説も
新谷弘実医学博士の著書である「病気にならない生き方」の中で、お茶に含まれている渋み成分であるタンニンが胃腸に悪影響を与えている可能性が示唆されました。
タンニンは非常に酸化しやすい物質で、空気に触れたり、熱湯に触れることで簡単に「タンニン酸」という物質に変化してしまいます。タンニン酸はタンパク質を凝固させる働きを持ち、この働きが、胃粘膜に悪影響を及ぼしていると新谷弘実医学博士は言います。
空腹時にお茶をたくさん飲むことは腸活に適していないと言えます。
腸活におすすめの食べ物
腸活におすすめの食べ物についてもいくつかご紹介します。
生の野菜・生の果物・生の発酵食品
新谷弘実医学博士は、「生」のものを食べることを推奨しています。
これはどういうことかというと、食べ物に本来含まれている酵素をできるだけそのまま摂取しようということです。
例えば、生野菜サラダと野菜の煮物では、生野菜サラダの方がよいというのが新谷弘実医学博士の見解です。できるだけ生の状態で酵素を効率的に体内に摂取することは腸活にも効果的と言えます。
腸活で腸内環境をよくするには、悪玉菌の好物となる未消化物を減らし、善玉菌の働きが活発になる状態を作る必要があります。そのため、生の野菜・生の果物・生の発酵食品を意識して摂ることで、酵素を効果的に摂取することがおすすめです。
動物性たんぱく質は魚で摂るようにする
腸活において、動物性たんぱく質は豚肉や牛肉などではなく、魚から摂取することが望ましいです。肉類から動物性たんぱく質を摂取しようとした場合、腸活という観点から考えるとあまりおすすめできません。
なぜなら、以下のような理由が挙げられるからです。
肉類を多く食べていると、消化に負担がかかりすぎて、腸内で悪玉菌が活発に働くようになってしまいます。その結果、悪玉菌が産生する毒性物質が多くなり、腸内フローラが乱れてしまうという可能性があるのです。
一方、魚から動物性たんぱく質を摂取しようとする場合、消化に負担にならずに良質なタンパク質を摂取することができます。また、かつおやサバなどの青魚には、腸内環境を整えるのに役立つDHAやEPAなどの不飽和脂肪酸が含まれているので、動物性たんぱく質以外の有用成分も同時に摂取できます。
腸活をするなら、動物性タンパク質は魚から摂ることを心掛けるとよいです。
良質な穀物
穀物を摂取する際、できれば未精白のものを摂取したいところです。なぜならば、穀物は精白後よりも未精白の状態の方が多くの酵素を含んでいるからです。
例えば米の場合、精米したものよりも玄米の方が酵素が多く栄養価が高いのです。腸内環境を整えるには善玉菌が多い状態を目指すことが大切なので、穀物を食べる際も意識して未精白のものを選ぶとよいですね。
おすすめレシピ
ここでは、腸活におすすめな新谷酵素おすすめの料理レシピをご紹介します。
是非とも参考にしてみてくださいね。
いわしの梅しょうゆ煮
いわしはDHAやEPAの不飽和脂肪酸が豊富な食材です。
腸内環境をよくする効果が期待できます。
- いわし4尾
- 梅干し3個
- しょうが親指大
- しょうゆ大さじ1
- みりん大さじ1
- 水160ml
- きゅうり2本
作り方
1.いわしのウロコを取り、頭を切り落としたら、内臓を除いてきれいにする。
2.鍋に梅干し、しょうゆ、みりん、水を入れて、そこに薄切りにしたしょうがを加えて中火にかける。
3.煮立ったら、いわしを入れて、弱火で20分程度煮込む。落し蓋をして時々煮汁をかけて味を馴染ませる。
4.3を皿に盛り付け、千切りにしたきゅうりを添えて完成。
柿の白和え
柿はビタミンCが豊富でストレス解消や美肌に効果があります。
また、具材に用いられている舞茸には、免疫機能を回復させるβグルカンという多糖類が含まれています。
βグルカンは食物繊維と同じ働きをするので、腸内環境を整える効果もあります。
- 柿1個
- 舞茸1パック
- にんじん1/3本
- だし100ml
- 豆腐1/3丁
- 白練りゴマ大さじ2
- きび糖大さじ1
- しょうゆ小さじ1
- 塩ひとつまみ
作り方
1.柿は皮を剥いていちょう切りにする。舞茸は一口大に割いて、にんじんは千切りにする。また、豆腐は水を切っておく。
2.鍋にだしを入れて舞茸とにんじんを茹でる。
3.すり鉢やボウルで豆腐をすりつぶして、白練りゴマ、きび糖、しょうゆ、塩を加えて混ぜる。
4.3に柿、舞茸、にんじんを入れ、和えて完成。
白菜の柚子浅漬け
白菜は漬物にすることで、酵素の活性を維持したまま食べることができるので腸活におすすめです。
- 白菜1/6株
- 柚子1個
- 昆布7cm角
- 唐辛子1本
- 塩大さじ1弱
作り方
1.白菜は繊維に沿って横向きにカットする。白い茎の部分は細切りに、葉の部分はざく切りにしたら、全体に塩をまぶす。
2.柚子は皮をそいでから細切りにする。
3.1,2と細切りにした昆布、種を除いて輪切りにした唐辛子を和えて冷蔵庫で一晩漬け込んで完成。
まとめ
いかがでしたか?
ここまで腸活におすすめの飲み物や食べ物についてご紹介してきました。
興味を持った方はぜひ、この記事を参考にして腸活に取り組んでみてください。
腸活で善玉菌を増やして腸内フローラを整えることで健康な体を目指しましょう!
【出典】
新谷弘実(2005)「病気にならない生き方」サンマーク出版
新谷弘実(2008)「図解 病気にならない生き方」サンマーク出版
新谷弘実(2011)「誰でもスグできる! 自然免疫力をぐんぐん高める 200%の基本ワザ!!!」日東書院