腸と脳は、自律神経や免疫、内分泌を介して互いに影響を及ぼしあっています。
腸と脳は、迷走神経を介してつながっており、ストレスを感じると腸内環境が変動して、腸内フローラが変わることもあります。ここでは、食生活や生活習慣の見直しとともに、腸内環境を整える方法をご紹介します。
自律神経とは?
自律神経は、体温調節機能や代謝、内臓の働きなど自律している器官に働き調節している神経です。
自律神経は、意志とは関係なく24時間働き続けています。自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」で構成されています。
この二つの神経は、バランスがとれていることが大事です。どちらかに傾くことで健康が損なわれることがあります。
バランスが崩れないためには、規則正しい食生活をすることが大切です。
交感神経
交感神経は、アクセルの役割です。緊張や興奮状態にあるときに優位に働きます。また、心臓の働きも活発になります。
例えば、運動するときや、恐怖を感じているときなどは交感神経が活発になります。
副交感神経
副交感神経は、ブレーキの役割です。
リラックスしているときに優位に働きます。ゆったりして穏やかなときは、血管がゆるみ、血圧も低下してリラックスした状態になります。
例えば、子どもが眠くなると手が温かくなるときや、休憩しているときは交感神経が優位になっています。
自律神経の乱れは腸が原因?
腸は、「第二の脳」と言われるほど、独自のネットワークを持っています。
「脳」の働きは自律神経が指示を出していますが、「腸」の動きは脳の支配からは独立しています。
例えば、事故などで脊髄を損傷して手足が動かなくなっても、脳は正常に動き続けます。また、人間は脳死状態になると心肺機能が停止して死に至りますが、腸は血流さえ確保できていれば正常に働きます。
こうした独立性の一方で、脳と腸は密接に影響を及ぼしあっています。ストレスを感じると、お腹が痛くなったり下痢になるのは、脳が自律神経を介して腸にストレスの情報を伝えるためです。
さらに、腸と脳は迷走神経を通じてつながっており、ストレスによって腸内細菌が変動してしまいます。
脳腸相関について
脳の状態が、腸の機能へ影響を及ぼし、腸の状態もまた、脳の機へ影響します。
一方的ではなく、両方が影響し合っているのです。
これが脳腸相関です。
腸は「第二の脳」とも呼ばれるほど、神経ネットワークが独立しています。
脳腸相関とは、生物にとって重要な器官である脳と腸が、密接に関係し、お互いに影響を及ぼし合うことです。
腸内環境が悪化する酵素不足が原因?
酵素は、「細胞」と「腸内細菌」から作られます。
細部の中では、食事で取り込んだ栄養素が酵素の材料となりますが、食べ物の含まれる酵素はそのままのかたちで体に吸収・活用されるわけではありません。
消化の過程で分解されて、ペプチドやアミノ酸として吸収されます。また、腸内細菌は人間が生きていくためには必要不可欠なものです。
約3000種類もの酵素を作っている善玉菌と、有害な物を排出するために必要な悪玉菌がバランスよく、双方がきちんと働ける腸内環境を作ることが大切です。
酵素が不足する原因
酵素が不足する原因はいくつかあります。
- 酸化の進んだ「死んだ食品」をよく食べる
- 煙草をよく吸う
- 不規則な生活をしている
- お酒をけっこう飲む
- 肉、魚、卵など動物食ばかりたくさん食べる
- 便秘がち
- 休養をとらない
など、さまざなな原因で酵素は減少してしまいます。
酵素の働きが健康を左右するため、酵素を増やすように、自然のリズムに則した規則正しい生活を心がけましょう。
喫煙・飲酒
フリーラジカルを作り出すのは、酸化した食品だけではありません。
お酒と煙草の摂り過ぎは、大量のフリーラジカルを発生させてしまいます。
お酒を飲んだり、煙草を吸うことで、肺や肝臓にダメージを与えたり、全身の毛細血管を収縮させてしまいます。すると、水分や栄養、酸素が行き届かず、血液やリンパの流れが阻害されます。
このサイクルにより、老廃物が排出できず、体に毒素が溜まってしまいます。
煙草には、タール、カドミウム、ニトロソアミン、ホルムアルデヒドなど数多くの有害物質が含まれています。
また、喫煙の健康被害は、喫煙者本人だけではなく、主流煙よりも毒性の強い副流煙によって周囲の人にまで健康被害をもたらすことも考慮しなければなりませんお酒に強くない人でも、飲みつづけていくうちに飲む量が多くなります。
これは、体がアルコール分解酵素を多く作るように指示を出すからです。
酵素は必要に応じて作られる量が変化します。
そして、体が最も酵素を消費するのは解毒です。
喫煙と飲酒は、体内に大量の活性酸素を生み出し、多くの酵素を消耗することで健康を蝕んでいきます。病気になる前に、自らの意志で悪習慣を断ち切る努力をしましょう。
腸内環境を改善するには?
腸内環境を改善するには、酵素をたくさん含むフレッシュな食物を多く摂るとともに、酵素を消費しない生活を送ることです。
良い水を飲み、食後は休憩をとり、ストレスをためない生活をしましょう。
酵素は、生命があるところに必ず存在し、あらゆる生命活動を維持しています。人間に必要な酵素は、細胞以外には腸内細菌も作り出してくれます。
そのため、腸内細菌を整えることは、腸内細菌を助け、酵素を増やすことにもつながっています。
食事バランスを見直す
食事のバランスを見直すことは大切です。
しかし、毎日きっちり続けることは大切ですが、あまり厳密にしてしまうと、不満だらけの食事になってしまいます。不満をもちながらの食事は良くないため、食事のバランスは3日単位くらいでとりましょう。
例えば、一日目にステーキ、二日目にケーキなどをたくさん食べてしまったら、三日目で不足していた野菜などを多く食べましょう。また、食事は、太陽の出ているあいだにすませるのが理想的です。
しかし、仕事などでどうしても夕食がはやくとれないという人は、メインの食事を昼に切り換えたり、早めの時間に簡単に夕食をすませる工夫をしましょう。
なるべく生のものを食べる
できるだけ酵素を多く摂るためには、食べ物が生きている状態、つまり「生」で食べることがおすすめです。
生で食べることで、熱に弱い水溶性ビタミン(ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンH)が摂れるメリットもあります。また酵素は、その生体の生命活動の停止とともに減少します。
そのため、相手の命を最大限に活かす生の食べ方が一番良いです。
ファイトケミカルを多く摂る
ファイトケミカルとは、植物に含まれる色素や香りなどの機能成分のことです。高い抗酸化作用をもつファイトケミカルは、トマトに含まれるリコピン、大豆のイソフラボン、ぶどうのアントシアニンなどがあります。
- 活性酸素を取り除く
- 傷ついた細胞の修復作用
- 老化防止
- がんの予防
- 免疫力の向上
- 動脈硬化の防止
など、さまざまな健康効果を持つものがたくさんあります。
野菜は、できるだけ太陽をいっぱい浴びたほうがファイトケミカルが豊富に含まれています。ファイトケミカルは、ハウス栽培のものよりも露地栽培のものに多く含まれます。
こうした差が生じるのは、ファイトケミカルの生成過程に日光が関係しているからです。自らの意志で移動できない植物には、紫外線を吸収して無害にする成分や、虫から身を守るための成分が生成されるようになっています。
紫外線や虫など、外的刺激が少ないハウス栽培では、ファイトケミカル生成が十分に行われなくなってしまいます。選ぶ際には、ハウス栽培のものではなく、露地栽培で太陽をたくさん浴びて育ったものにしてください。
まとめ
脳と腸は、互いに独立しながらも、密接にかかわりあって影響を及ぼし合っています。
脳と腸は自律神経などを介して通じ合っていますが、自律神経の交感神経と副交感神経のバランスを保つことが大切です。
また、腸と脳は迷走神経を通じてつながっていますが、ストレスを感知すると腸内フローラにも変動があり、腸内フローラが崩れて悪玉菌が増えると下痢や便秘になることもあります。
日常生活では、ストレスをためないこと、食生活を改善することが重要です。しかし、忙しい毎日の中で食事では摂りきれない栄養素もあります。
そんなときは、不足している分をサプリメントで補うのが効果的です。
【出典】
新谷弘実(2005)「病気にならない生き方」サンマーク出版
新谷弘実(2008)「図解 病気にならない生き方」サンマーク出版