身体に良い食事をよく噛んで食べる
身体によい食事とは、新鮮に育った食べ物を、できるだけ新鮮なうちに食べる。肉や魚などの動物食を控え、穀物中心の野菜を摂ることがあげられます。
しかしながら、どんなに身体によい食事だったとしても、よく噛んで食べなければその効果を十分に得ることはできません。
「食べ物をよく噛んで食べましょう」という言葉は小さい頃から誰もが言われてきた言葉だと思います。
食べ物をよく噛んで食べることにより、食べ物は細かくなり、唾液と混ざりあうことで結果的に消化が良くなり、胃酸や胆汁と混ざりやすくなることで、消化や吸収がスムーズになります。
普段から噛んで食べることにより、肥満防止や脳、味覚の発達、さらには胃の働きを活発にすることが出来ます。
よく噛まないで食べる
よく噛まずに食べるというのは”早食い”ということになります。特に仕事で忙しい人は食事を素早く適当に済ませているのではないでしょうか。
早食いの人にありがちな食べ方としては
- ただおなかを満たそうとして食べている。
- 一口で食べようとすることが多い。
- やわらかいものを好んで食べる。
- よく噛まずにすぐに飲み込んでしまう。
- 何かを食べている時に飲み物を飲むことがある。
- 1人で食べることが多い。
- 食事が5~10分程度で終わってしまう。
などがあげられます。
当てはまっている人は早食いの可能性があるため要注意です。
早食いのデメリット
早食いのデメリットは大きく2つあります。それは”肥満”と”老化”です。
噛まないことにより身体が満腹だと思い込む時間が遅くなり、必要以上に食べてしまいがちになります。
食欲が満たされるまでに時間がかかるため、だらだらと食後にデザートやおやつを食べてしまいます。摂取カロリーが増えることにより結果的に肥満につながります。
よく噛まないまま胃へ運ばれた食べ物は消化が遅くなり、身体の中で十分に消化されません。内臓が必要以上に食べ物を消化しようと活発になるため胃腸への負担も増えます。
消化しきれない食べ物は腸で停滞するので便秘になったり、老廃物が溜まります。身体の中で毒素が溜まりやすくなり、肌の質が悪くなってしまい、老けて見えるようになります。
顎の筋肉も発達しないので、顔がたるんでしわができます。当然これも老化の原因につながります。
よく噛んで食べるメリット
食べ物をよく噛んで食べることによりさまざまなメリットがあげられます。
肥満防止
食べ物を口に運び、ゆっくり噛むことによって脳に信号が送られ、満腹中枢が刺激され食べたいという食欲が抑えられます。
これにより必要以上に食べることが少なくなり、余分なカロリーを摂らなくて済むようになります。
脳・味覚・言葉の発達
たくさん噛むことにより脳への血液の流れが良くなり脳が発達します。
子どもの頃は発達を手助けし、大人は認知症を予防することができるといわれています。食べ物が口の中にいる時間が増えることで食べ物の味をしっかりと感じることができます。
また、食べ物のかたちや固さがよく分かるようになり、味覚が発達し、口の周りの筋肉が刺激されるため、顎が発達します。
これにより表情が豊かになり、言葉の発音が綺麗になります。顎が発達することでフェイスラインが引き上げられ、小顔効果も期待できます。
病気の予防
噛むことにより唾液がたくさん分泌されます。唾液は食べ物のカスや細菌を洗い流す作用があるので、虫歯予防につながります。
唾液には”ペルオキシダーゼ”という酵素が含まれています。
この酵素には食品の発がん性を抑える作用があるので、がんの予防につながるとされています。
胃の働き
食べ物を細かくかみ砕くことにより身体の中に入ってくる食べ物が消化されやすくなります。
これにより消化・吸収のスピードが早まり十分に消化されるので、胃腸への負担が少なくなります。
踏ん張る力
力を踏ん張る時や運動している時、無意識に歯を食いしばっていることってありませんか?
実際に歯を食いしばっている時とそうでないときでは全然変わってきます。普段から噛むのを意識することで何事にも全力で挑めることができるでしょう。
よく噛むためのコツ
目標は30回噛むことです。まずはこれを目標に食べてみましょう。
食べ物を口に運んですぐ次のおかずに手を付けていませんか?
箸を置くことで食べることに集中することができるでしょう。
一度に口に含む食べ物の大きさにも注意しましょう。
多めにほおばっている人は一口の量を減らすことで食べ物を十分にかみ砕くまでの噛む回数も減るため、結果として胃腸への負担を和らげることができます。
また、具材を大きめにカットしておくのもいいですね。
ちゃんと噛まないと飲み込むことが出来なくなるため、早食いしてしまう小さいこどもなどへの対処法になるかもしれません。
できれば固めの食材がおすすめです。
こちらも先ほどと同様噛まなければ飲み込むことが出来ないからです。
ひとつの例えとして、おかゆは身体によいとされていますが、実際におかゆを食べてみるとよく噛まない人は多いのではないでしょうか。どうしてもおかゆは噛む回数が少なくなってしまうため、よく噛むよう意識づけましょう。
食事をしている時に飲み物を飲むもあまりおすすめできません。無意識に食べ物を飲み物で流し込んでしまっている可能性があります。
”食べる”と”飲む”は別に行うのがいいですね。
本来の食事とは食材の食感や味を楽しむものです。
食事を楽しむことができるようになれば、自然と噛む頻度もどんどん増えてきます。食事を摂る際にも十分な時間を設けて食べるのがよいでしょう。
家族や恋人と食事を楽しむことにより必要以上に急いで食事をとらなくてはいけないという場面が減ります。人と一緒に食べることでリラックスした気持ちで食事に集中することができます。
まとめ
仕事や時間に負われていると食事の時間というのは軽視されがちです。
食事本来の楽しみをもう一度思い出し、食材本来の味を楽しんで食べてみてください。
食事がどんどん楽しくなり、身体にさまざまないい影響を与えてくれるでしょう。誰かと食事をすることも身体だけでなく心も豊かにしてくれます。
これを機にあなたももっと食事を楽しんでみませんか?
【出典】
西岡,日本食事雑誌学会 Vol1 No.1(1991),p25~32