アレルゲンの意味
アレルギーを引き起こす原因となる物質のことを「アレルゲン」または「抗原」と言います。
私たちに不快な症状を引き起こすアレルギーですが、その原因となるアレルゲン(抗原)には体への侵入経路によって3種類に分けられます。
- 食物性アレルゲン
- 吸入性アレルゲン
- 接触性アレルゲン
食物性アレルゲン
食物性アレルゲンの中でも、鶏卵、牛乳、小麦は「3大アレルゲン」とよばれます。
乳幼児の食物アレルギーの原因としては、最も多いのが鶏卵、続いて牛乳です。
鶏卵のアレルゲンの多くは、卵白に含まれる「オボアルブミン」と「オボムコイド」というタンパク質です。
このうちオボアルブミンは、加熱するとタンパク質の構造が変化してアレルゲンではなくなります。
その結果、鶏卵アレルギーでも主にオボアルブミンのアレルギーの場合、加熱をすれば鶏卵が食べられるということがあります。
ただし、加熱した鶏卵で症状が出なくても、半熟卵や生卵ではオボアルブミンの性質の変化が十分ではないため、食べて症状が出ることがあります。
牛乳アレルギーの多くは、牛乳タンパクの中の「カゼイン」が原因です。
発酵した場合もカゼインの成分は分解されにくいため、ヨーグルトやチーズなども注意が必要です。
一方、「全粉乳」「脱脂粉乳」「練乳」「乳酸菌飲料」「はっ酵乳」などは牛乳が含まれるため、牛乳アレルギーの場合は食べられません。
この他にも食物アレルギーの原因となるものには、そばやピーナッツ、えび・かになどの甲殻類、果物、豆類など幅広くあげられます。
乳幼児の主な原因食物は鶏卵、牛乳ですが、学童期以降になると甲殻類や果物類、魚類などが主な原因食物となります。
その他のアレルゲン
アレルゲンは、体内へ入る経路によって区分される。口から入るものを「食物性アレルゲン」、その他には「吸入性アレルゲン」や「接触性アレルゲン」があります。
吸入性アレルゲンは、ダニ・カビ・花粉など鼻や気管支から体内へ入るものが該当します。
また、接触性アレルゲンとしては、化粧品、洗剤、金属、ゴム、衣類、寝具、建材といったものがあり、皮膚や粘膜から体内に入るものが該当します。
実際には、食物性アレルゲンである小麦粉を吸い込んでぜんそくを発症したり、卵が皮膚にくっついて蕁麻疹が出ることもあります。
また、食物性と吸入性アレルゲンなど2種類以上のアレルゲンを持っていて原因が複雑化しているケースもあります。
タンパク質とアレルゲンの関係性
食物性アレルゲンの場合、アレルギー反応の原因となるのは、主に分子量の大きいタンパク質です。
通常は、消化酵素でアミノ酸まで分解されてから吸収されるので、異物としてIgE抗体が反応することはありません。
身体の中に入ってきたアレルゲンに対して働きかけ身体を守る機能を持つ抗体)が反応することはありません。
でも、消化吸収力が未熟なために十分に分解できなかったり、腸管が炎症を起こしているために腸管壁に穴が開き、未消化のタンパク質が血管内に侵入してしまうことで、食物アレルギー反応が起きてしまうのです。
食物性アレルゲンの場合、アレルゲン=タンパク質
そして、その中には身体に害を及ぼすものもあります。
身体は、害を及ぼすものだと認識すると、咳をして体外に出す、発熱して熱で殺すなど、色々な手段を使って身体から排除しようとします。
しかし、身体に害を及ぼさないのに敵と判断してしまい、排除しなくてもいいのに排除しようとすることがあります。
そして、敵と間違われる食品中の多くが、食品中に含まれるタンパク質なのです。
タンパク質の種類はとても多くあります。
タンパク質は、肉などしか入っていないように思われますが、人参にも入っているように食品に含まれるタンパク質もそれぞれです。
そのため、特定の食品ではアレルギーが起こるのに、他の食品ではアレルギーが起こらない、といった症状の違いが出ます。
つまり、食品の中にも様々なタンパク質があり、その中の特定のタンパク質を敵、抗原として判断してしまうのです。
鶏卵に関していうと、卵黄はアレルギー反応が起こらないけど、卵白だと起こることがあります。
これは、卵黄に入っているタンパク質と卵白に入っているタンパク質の種類や数が違うからなのです。
卵白は、卵黄よりたくさんの種類のタンパク質が入っていることもあり、卵黄よりもアレルギー反応が出やすいです。
まとめ
食物アレルギーとは、食べた食品中のタンパク質などを敵と勘違いしてしまい、身体に負担をかけて排除しようとする働きです。
アレルギー症状があると思った時は、原因物質だと思うものは食べないようにし、医師に相談するようにしましょう。
食物アレルギーを引き起こすとされている食べ物は、小麦や乳製品、大豆や落花生などを含む27品目が確認されており、食品に使用されている場合は原材料表示に記載があります。
アレルギー症状がある方は、発症を防ぐために「どんな原材料が使用されているか」をよく確認する必要があります。また、アレルゲンとなる食品を単品で食べないようにするのは比較的簡単ですが、アレルゲンが原材料となる調味料や加工品を避けるのは、大変なことでもあります。
たとえば、しょうゆの原材料には大豆や小麦が使われています。他にも、カレーやシチューのルーには小麦粉や乳製品、落花生なども入っています。
そのため、食物アレルギーの方は常に食品の材料や調味料に気を配らなければなりません。
そこで注目されているのが、アレルゲンを使用していない「アレルゲンフリー食品」です。
2002年に「アレルギー食品表示制度」が施行されてから、2015年にアレルゲン表記を義務付ける「食品表示法」が施行され、多くの食品メーカーが、アレルゲンフリー製品を開発・販売するようになりました。
食物アレルギーがあると、食べられるものの選択肢が限られてしまいますが、卵を使わないマヨネーズ、大豆・小麦不使用のしょうゆといったアレルゲンフリー食品を取り入れることで、安心して食事を楽しむことができます。
最近では、近所のお店になくてもネットショップなどで販売されています。
アレルギーのある方が食品を選ぶ時の負担が減り、気軽に購入することができますし、身体にやさしく安全なアレルゲンフリー食品は、食物アレルギーの対策に加えて、美容や健康目的の食事習慣の見直しなどにも利用できます。